白雪千夜「足りすぎている」
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4:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 20:50:43.75 ID:QXbKSZYO0
 ルーマニアから日本に戻り、東京での生活を始めるまでの間、私とお嬢様は黒埼家のおじさまの屋敷に身を寄せていた。
 少しの間だけでも空気の綺麗な所で静養された方が、お嬢様の身にも良いだろうという、おじさまと私の判断だった。

 東京の住居の契約は、まだ行っていない。
 いっそここから学校に通ったらどうかと、お嬢様を溺愛するおじさまのご提案もあったが、さすがに交通の難がある。
 私はまだしも、お嬢様のお身体にはご負担になるだろう。

 かといって、近ければどこでも良いという訳にもいかない。
 おじさまと一緒に物件を探してみるが、私もおじさまの気がうつってしまったのか、どこにしても不安が残ってしまう。
 まして奔放なお嬢様のことだ。危険がない所を探すことは難しい。

 やはり、どこかで決断をするべきなのだろう――。
 悩みから半ば目を背けるように家事に没頭するうちに、もう新年度が始まろうとしていた。



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