62:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 23:16:26.13 ID:QXbKSZYO0
 「……44…! 45…! 46…う、わああああ!」 
 「ごめんなさい! 私が、今のは私がぁ、うぅぅ…!」 
 「大丈夫だにぃかな子ちゃん! 何度でもやり直そう?」 
 「ダー! キラリの言うとおりです」 
  
  くっ……そろそろ脚が、上がらなくなってきた。 
  震える膝に両手をつき、肩をガックリ落として必死で呼吸を整える。 
  
 「ち、千夜ちゃん、大丈夫ですか?」 
 「はい……ありがとうございます、卯月さん。まだ大丈夫です」 
  
  ふと杏さんの方を見る。 
  彼女は怠そうにしながら、Tシャツをパタパタとはたいている。 
  汗は多少かいているものの、顔色はさほど変わっていないようだ。 
  
  端っこ同士、条件は私と杏さんで同じのはずなのに、この違いは何だろう。 
  どうやら彼女には、無視できないレベルの技術ないし基礎体力が備わっているらしい。 
  
  
  美波さんが、目標回数を下げることを皆に提案した。 
  だが、皆は一様に首を振った。 
  ここまで来たのなら全員でやり遂げようという、気迫のこもった未央さんとみくさんの回答があり、皆もそれに同調したのだ。 
  
  私も、それには同意見だった。 
  冷静に考えれば、こんな戯れ事に意味は無いのだけど――いや、このまま終わったら、本当に意味が無いままで終わってしまう。 
  それは私にとっても我慢がならないことだった。 
  
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