女「私、あなたのことが好きになってしまいました」
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154: ◆qhZgDsXIyvBi[saga]
2020/01/23(木) 22:18:23.25 ID:xdKyTgMJ0
 無表情でコーティングされていた彼女の顔が。 
  
 はっきりと朱色を帯びて。 
  
 眉毛を情けなく下ろしながら、唇を歪ませていた。 
155: ◆qhZgDsXIyvBi[saga]
2020/01/23(木) 22:18:55.23 ID:xdKyTgMJ0
 女「男さん、どうされましたか」 
  
 男「いや、えっと……あれ……」 
  
 自分でもわからないくらいに。 
156: ◆qhZgDsXIyvBi[saga]
2020/01/23(木) 22:19:55.28 ID:xdKyTgMJ0
 男「……」 
  
 女「……」 
  
 僕らはいつもよりも近くで、お互いに目を合わせた。 
157: ◆qhZgDsXIyvBi[saga]
2020/01/23(木) 22:20:38.47 ID:xdKyTgMJ0
 疑問を抱いていた『好き』の根拠が今目の前にある。 
  
 そういう表情で作られた像のように同じ顔をしていた彼女が。 
  
 僕に対して、感情を表したこと。 
158: ◆qhZgDsXIyvBi[saga]
2020/01/23(木) 22:22:37.81 ID:xdKyTgMJ0
 女「……どうしても着ないといけませんか?」 
  
 男「もちろん強制じゃないけれど……体調が心配だから」 
  
 女「……」 
159: ◆qhZgDsXIyvBi[saga]
2020/01/23(木) 22:23:30.93 ID:xdKyTgMJ0
 男「……」 
  
 女「……」 
  
 過ぎた間を察して、僕は女さんの肩にコートを掛けた。 
160: ◆qhZgDsXIyvBi[saga]
2020/01/23(木) 22:24:57.41 ID:xdKyTgMJ0
 男「あ、あのさ女さん」 
  
 女「はい」 
  
 男「僕、その……」 
161: ◆qhZgDsXIyvBi[saga]
2020/01/23(木) 22:25:27.45 ID:xdKyTgMJ0
 女「どうしてですか」 
  
 顔を手で覆いながら問う。 
  
 女「なぜ、見たいのですか」 
162: ◆qhZgDsXIyvBi[saga]
2020/01/23(木) 22:27:07.55 ID:xdKyTgMJ0
 女「……」 
  
 男「……」 
  
 誰も邪魔できないほどの森閑。 
163: ◆qhZgDsXIyvBi[saga]
2020/01/23(木) 22:27:33.57 ID:xdKyTgMJ0
 女「……このような顔は、本当は見せたくありません」 
  
 今にも消えてなくなりそうな声を発する。 
  
 女「でも、あなたの望みなら」 
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