小日向美穂「グッバイ、ネヴァーランド」
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1: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 00:14:06.27 ID:nY0iWbpOO
小日向美穂さん、誕生日おめでとうございます。

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2: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 00:15:13.81 ID:nY0iWbpOO
「いーやっふー!」
「きゃー!」
「きゃっふー! あはは! 楽しい!」
 カモメがキューキューと鳴きながら空を飛び、心地よい潮騒を裂くようにジェットスキーが爆音を鳴らし航跡波を引く。邪智暴虐の王様が如く無茶苦茶な運転だけど咎めるものは誰もいない。
「あー、最高! って美穂大丈夫? 目が回っているけど」
以下略 AAS



3: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 00:16:10.53 ID:nY0iWbpOO
「ぷはぁ! 大和亜季、ただいま帰還しました!」

「わっ! 亜季さんすごっ、また大物取ってるじゃん」

「アッハッハ! これで無人島サバイバル企画が来てもバッチリでありますな!」
以下略 AAS



4: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 00:17:06.28 ID:nY0iWbpOO
「あ、食べてもスイカの皮は捨てないでくださいね! 胡麻和えにしたら結構美味しいんですよ。晩ご飯のおかずに使いますよ!」

「へぇ、そうなんだね。さすが響子ちゃん」

「せっかくですし、写真撮りませんか?」
以下略 AAS



5: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 00:18:36.18 ID:nY0iWbpOO
「12月15日、朝のニュースです。世界レベルのアイドルヘレンさんが今日未明アトランティスを発見し」

 いつものようにコーヒーを飲みながら朝のニュースを見る。存在自体が神話レベルであった超古代文明アトランティスの存在を証明する遺跡を見つけた! とヘレンさんがインタビューを受けている。最近あの人見ないなとは思っていたが、まさかアトランティスを発見していたとは。文字通り歴史に名を刻むとは流石だ。

「しまった、帰りに卵買わなきゃいけないな」
以下略 AAS



6: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 00:19:20.14 ID:nY0iWbpOO
「毎日の日課ですからっ。あ、でも今日は私だけじゃないんですよ?」

「ん?」

 悠貴は後ろを振り向く。少し遅れてやや眠そうに走ってくる美穂がやってきた。
以下略 AAS



7: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 00:20:33.52 ID:nY0iWbpOO
「はい、そこまで! 各自明日に向けて無理する事がないように!」

「ふぅ……」

「はい、お疲れ様」
以下略 AAS



8: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 00:21:35.63 ID:nY0iWbpOO
 18歳までのカウントダウンが残り12時間を切った彼女は少し不安そうに答える。小日向美穂という女の子の最大の個性ははにかみ屋というところだ。

 恥ずかしがり屋で緊張しいだけど、かといって内気な女の子かと聞かれるとそんなことはない。むしろ熊本の女は強い、という自己暗示にも似た矜持を持っているくらいだ。

「今の君は緊張すらも楽しめる。違うかな?」
以下略 AAS



9: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 00:22:51.37 ID:nY0iWbpOO
「昨日まで、ううん。ほんの少し前までの美穂を信じてあげて。そうすれば自信が生まれないかな?」

「はい、なんだか気持ちが楽になった気がします。そうですよね、これまでの私を信じてあげなきゃですもんね」

「それは良かった」
以下略 AAS



10: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 00:23:56.50 ID:nY0iWbpOO
「私は……ちょっとだけ、期待していることがあるんです」

「うん?」

「昔の話なんですけどね。おばあちゃんの家に遊びにいった時、話してもらったんです。18歳になったおばあちゃんが体験した、不思議なお話ーー。その物語には少し年上の男の人と女の人が出てくるんですけど……摩訶不思議で愉快なお話だってんです。だから私にも、不思議な出来事が起きないかなって。ちょっぴり、期待してます」
以下略 AAS



11: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 00:24:35.87 ID:nY0iWbpOO
「うー、寒い」

「今日は今年一番の寒さって言われてるしな。よくジョギングしたもんだ」

 スタジオから出た加蓮はさっきから寒い寒いと同じワードを繰り返している。寒いと言っても暖かくなるわけでも夏が来るわけでもないので手のひらサイズの幸せをお裾分けしてやる。
以下略 AAS



12: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 00:25:26.98 ID:nY0iWbpOO
 インフルエンザと言っても1週間あれば熱は下がるだろうが、先輩は相当うなされていたらしく丸々2週間熱が下がらず寝込んでいたそうだ。当然その間事務所に来ることはできないし、年末年始の撮影も控えているアイドルに移そうものなら洒落にならないことになる。その間彼が担当していたアイドルを同僚のみんなで分担して面倒見ることになっていた。俺が加蓮の送り迎えをしているのもそういう事情があったのだ。

「それより明日だよ? 美穂へのプレゼント、決めた?」

「あー、まぁ、うん」
以下略 AAS



13: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 00:27:13.22 ID:nY0iWbpOO
「なぁ加蓮?」

「んー?」

「これ、違うんじゃないか?」
以下略 AAS



14: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 00:28:03.44 ID:nY0iWbpOO
「それともの使い方を間違えてるぞ。それはそうと聞きたいのだけど、なんで俺が荷物持ちしてるの?」

 一方で俺の両手には彼女の買った買い物袋が増えてゆく。その姿はクリスマス前にプレゼントをかき集めるサンタクロースにも見えただろう。いや、むしろ忖度苦労すというべきか。美穂の誕生日プレゼントを買いに来たはずなのにあれれおかしいぞぉ。ひょっとしたらこの子先輩にも荷物持ちさせてるのか。周囲の視線がやや気になるが帽子と眼鏡とマスクで変装している加蓮には気付いていないようだ。目元と口元を隠せば案外隠し通せるものだったりする。

「仕方ないよ、私マイクより重いもの持てないから」
以下略 AAS



15: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 00:29:00.45 ID:nY0iWbpOO
「ふんふんふーん」

 ショッピングを心ゆくまで楽しんだ加蓮は満足げにフライドポテトを頬張る。片手にポテト、もう片方の手には参考書を持って。

「テスト勉強?」
以下略 AAS



16: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 00:30:46.93 ID:nY0iWbpOO
「申し訳ありませんでした。心当たりがありませんが申し訳ありませんでした」

「いきなり謝られても困るんだが」

「申し訳ありません」
以下略 AAS



17: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 00:32:43.80 ID:nY0iWbpOO
「ハリウッド……」
 なんとなく目指していた憧れだった。だけどこう現実のものとして目の前に差し出されると嬉しさと戸惑いが入り混じった複雑な感情が生まれてしまう。おかげで仕事終わりに買おうと思っていた卵のことはすっかり頭から飛んでいってしまった。
研修期間が1週間程度なら俺は喜んでハリウッドの土産屋に置いてあるオスカー像を買って帰って来た事だろう。未来の主演女優賞小日向美穂、なんて粋なメッセージを送ったりして。それくらいで十分だったのに。
「さすがに長いよな」
 だけど1年となると途端に及び腰になってしまう。言葉の壁は怖くない。アメリカで待つであろう困難も恐れているわけじゃない。だけどどうしても俺の心に強く根付いた存在がいた。
以下略 AAS



18: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 00:33:24.18 ID:nY0iWbpOO
「んん……」

 ザザーン、ザザーン。アラームの音が部屋に響く。最近のアラームはすごいんだな、波の音と一緒に潮の匂いすらしてくる。というか……。

「暑っ!?」
以下略 AAS



19: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 00:35:47.45 ID:nY0iWbpOO
「な、なあこれどうなってるんだ?」

「わからないですっ。昨日は本番前にしては珍しく早寝しちゃって、その分早起きできたから少しジョギングしようと思ったら」

 両親の姿はなく悠貴1人だけ。しかも外はなぜか夏模様になっていたからアロハシャツに着替えたらしい。だが話を聞くと俺と違って家はあったみたいだ。
以下略 AAS



20: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 00:36:47.15 ID:nY0iWbpOO
「プロデューサー殿! 悠貴殿! ご無事でしたか!」

「亜季!?」

 ジープの運転席から飛び出すように降りた亜季はこの異常事態でも変わらずパッと敬礼をする。あまりにシームレスにされるものだから俺と悠貴もつられて敬礼してしまう。
以下略 AAS



21: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 00:37:53.55 ID:nY0iWbpOO
「プロデューサーさん! 悠貴ちゃん!」

「美穂! 無事だったんだな」

「はいっ。朝起きたら外がすごいことになってて、寮の子もほとんどいなくなってたんです……私、もう何がなんだか分からなくなっちゃって」
以下略 AAS



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