小日向美穂「グッバイ、ネヴァーランド」
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41: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 01:03:34.52 ID:nY0iWbpOO
「李衣菜の部屋にも……いないか」

 部屋という部屋を探して回ったが石像の一つもありゃしない。そりゃあ一般家庭に自分の姿を象った石像があれば怖いけどもさ。分かったこといえば李衣菜の部屋はすみずみまで掃除が行き届いているということくらいか。響子が見たら不満を覚えそうだ。

「李衣菜ちゃん……」

 美穂は机の上に置かれていた写真を見ている。真紅のドレスを見に纏う5人はステージ上のアンニュイな表情を忘れて笑っている。「愛」や「運命」から解き放たれて少女らしく笑うみんな。そこにいたはず3人は、この世界にいない。

「大丈夫だって美穂。李衣菜もまゆも智絵里もみんなどこかで私達のこと探してるよ。大体あのまゆだよ? プロデューサーさんと添い遂げるまで死なないって。ね?」

「ね? って俺に言われても」

 机の下にいたり車の中にいたり。まゆは俺が行く先行く先に先回りしていたし、それが当たり前になっていた。正直困ることもあったけど……不思議と今、寂しさを憶えていた。

「次は城ヶ崎さんちに行こう」

 多田家にアポなしで乗り込んだことをもう一度謝って再び雪道を走らせる。朝よりかは降る雪の量も減って来て、このまま車を降りて2人と雪合戦をしたい気持ちになるけどそれは一旦置いておいて目的地へと向かう。雪景色の中どこまでが東京でどこからが埼玉なのかの境界線も曖昧になってくる。まぁこの状況じゃ47都道府県なんてカテゴライズは無意味だろう。甲子園もサッカーの全国大会も出来やしないんだから。そもそも俺を合わせてようやく野球チームが一つできるくらいだしな。プレイングマネージャーだ俺。



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