ティア・グランツ「私、もう待つのはやめたの」
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1:名無しNIPPER[sage saga]
2020/01/04(土) 20:35:17.88 ID:DQhBkFB7O
ルーク・フォン・ファブレ。
キムラスカ・ランバルディア王国の公爵家に生まれ、王位継承権第三位を持つ嫡男であった。

「ルーク」
「はい、父上」
「お前にこれをやる」
「これは……日記、ですか?」
「俺の出来損ないの……弟のものだ」

生まれながらにして死を定められた者であり、世界転覆を図ったオラクル騎士団総長、ヴァン・グランツ謡将の手により幼い頃に誘拐され、その後はフォミクリー技術を用いた自らのレプリカ(以降、レプリカ・ルークと記載する)に居場所を奪われ、ヴァンの直属の部隊、六神将の鮮血のアッシュを名乗り、暗躍する。

「ルーク、お前は弟の生まれ変わりだ」
「僕が、レプリカ・ルークの……?」
「これからお前はあいつの代わりに生きろ」

エルドラントでのヴァンとの決戦の折、戦死したかに思われたが、レプリカ・ルークがその身を捧げて融合したことにより生きながらえ、その後、婚約者であるキムラスカ王国の王女、ナタリア・ルツ・キムラスカ・ランバルディアと結婚し彼女との間に嫡男である男児を儲ける。

「どうした、ルーク! 剣先を下げるな!」
「はあ……はあ……はい、父上」
「情けない。あいつはもっと強かったぞ!」

頑なにルークの名を取り戻すことに難色を示し、レプリカとの融合を果たしてからもアッシュと名乗っていた彼の意向で、息子には亡きレプリカに託した名であるルークと名付けた。

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2:名無しNIPPER[sage saga]
2020/01/04(土) 20:37:39.83 ID:DQhBkFB7O
「あなた、ルークはまだ小さいのですから……」
「ナタリア。お前はお前の仕事をしろ」
「本来であれば、王位継承者はあなたですわ」
「俺はファブレ家とは関係ないただの平民だ」
「はあ……本当にあなたは頑固なのですから」
以下略 AAS



3:名無しNIPPER[sage saga]
2020/01/04(土) 20:40:50.69 ID:DQhBkFB7O
「あ、あなたが大詠師、メシュティアリカ姫」
「本名は好きじゃないの。ティアって呼んで」
「わ、わかりました……ティアさん」
「さんは要らないわ」

以下略 AAS



4:名無しNIPPER[sage saga]
2020/01/04(土) 20:42:54.28 ID:DQhBkFB7O
「ったく。父上にも困ったもんだぜ」
「心配しなくても大丈夫。あなたは私が必ず無事に家まで送り届けるわ。だから安心して」
「おばさん、今も戦えんのかよ?」
「ま、またおばさんって……ええ、もちろんよ」
「その無駄にデカい胸、戦闘で邪魔じゃね?」
以下略 AAS



5:名無しNIPPER[sage saga]
2020/01/04(土) 20:44:57.18 ID:DQhBkFB7O
「ありがとう、ガイ。助かったわ」
「なんのなんの。このくらいなんでもないさ」

キラリと白い歯を輝かせるガイ。
しかし、やはり髭が似合わない。
以下略 AAS



6:名無しNIPPER[sage saga]
2020/01/04(土) 20:47:01.06 ID:DQhBkFB7O
「それで、ティアのメロンがなんだって?」
「ガイ! 子供の前よ! やめて!」

悪ノリしたガイが胸の話題を蒸し返した。
メロンと言われればたしかに。ロマンである。
以下略 AAS



7:名無しNIPPER[sage saga]
2020/01/04(土) 20:48:46.42 ID:DQhBkFB7O
「まずはチーグルの森を目指そう!」

ルークは早々とこの旅の方針を定めていた。
レプリカ・ルークと旅路を歩み、彼と同じ経験を重ねて、何を思い、学び、そして何を感じたのかを身をもって体験しようと考えていた。

以下略 AAS



8:名無しNIPPER[sage saga]
2020/01/04(土) 20:50:06.41 ID:DQhBkFB7O
「ここが、チーグルの森……」

北ルグニカ平野の穀倉地帯であるエンゲーブから北東にしばらく進むとチーグルの森に着く。
ダアト教会が崇める始祖、ユリア・ジュエと契約を結びし聖獣が住うこの森は、人の手が入っておらず、まさしく原生林であり、鬱蒼と木々が生い茂っていた。巨木を見上げていると。

以下略 AAS



9:名無しNIPPER[sage saga]
2020/01/04(土) 20:53:27.03 ID:DQhBkFB7O
「やあやあ。これはこれは。皆さんお揃いで」
「ジェイド! 来てたのか!」
「久しぶりですね、ガイ、ティア」

ミュウをつれてチーグルの森を出ると、そこには見上げる程巨大な軍艦が停泊しており、その甲板上に2人の人物がこちらを見下ろしていた。
以下略 AAS



10:名無しNIPPER[sage saga]
2020/01/04(土) 20:59:11.75 ID:DQhBkFB7O
「あんたがマルクトのカーティス中将か」
「おや、私の名をご存知とは物知りですねぇ」

レプリカ・ルークのようになるべく尊大に接してみたが、ジェイドは飄々として掴みどころがなく、早くもルークは苦手意識を覚えた。

以下略 AAS



11:名無しNIPPER[sage saga]
2020/01/04(土) 21:02:33.84 ID:DQhBkFB7O
「アニス、彼の様子はどう?」
「心配しなくてもぐっすり寝てるよ」

艦橋に戻ってきたアニスに真っ先に尋ねたのはティアであり、アニスはジトっとした目で。

以下略 AAS



12:名無しNIPPER[sage saga]
2020/01/04(土) 21:05:10.35 ID:DQhBkFB7O
「ノエル、準備はよろしいですか?」
「はい、中将閣下。いつでも離陸可能です」
「ノ、ノエル、あなた何故陸艦に……?」
「お久しぶりです、ティアさん。そのご質問は、答えるよりも実際に見た方が早いかと」

以下略 AAS



13:名無しNIPPER[sage saga]
2020/01/04(土) 21:07:40.98 ID:DQhBkFB7O
「……浮いてる」

夜中、トイレがしたくなってルークが目を覚ますと、乗っていた陸艦が空中を飛んでいた。
ヴァンの陰謀を防いでから、早10年あまり。
飛晃艇の生産は加速して、その数は増えた。
以下略 AAS



14:名無しNIPPER[sage saga]
2020/01/04(土) 21:10:53.68 ID:DQhBkFB7O
「ルークは、私の数少ない友人でした」

やるせない思いを抱えて癇癪を起こしたチビルークに歩み寄り、見に纏う青いマントをその肩にかけてやりながら、ジェイドは語った。

「沢山の過ちを犯した彼に共感を覚えた」
以下略 AAS



15:名無しNIPPER[sage saga]
2020/01/04(土) 21:13:32.43 ID:DQhBkFB7O
「勝手なこと言うなよ!」

怒鳴っても、カーティス中将は動じない。

「俺がルークだ!」
以下略 AAS



16:名無しNIPPER[sage saga]
2020/01/04(土) 21:15:17.73 ID:DQhBkFB7O
「失礼。少々言い過ぎましたね」
「うう……うわああああああん!」

チビルークはわんわん泣いた。
やれやれと嘆息して謝罪するジェイド。
以下略 AAS



17:名無しNIPPER[sage saga]
2020/01/04(土) 21:16:51.15 ID:DQhBkFB7O
「大丈夫? 着替え、ちゃんと出来る?」
「で、出来るよ! そのくらい!」

場面は変わってティアの船室にて。
汚してしまったズボンの着替えを手伝おうとするティアを部屋から追い出して、なんとか着替えたルークは、ようやく落ち着いてきた。
以下略 AAS



18:名無しNIPPER[sage saga]
2020/01/04(土) 21:19:39.04 ID:DQhBkFB7O
「どういう意味だよ、それ」

尋ね返すとティアはなるべく刺激しないよう言葉を選びつつ、慎重に自らの考えを口にした。

「ルークは私と同じだったのよ」
以下略 AAS



19:名無しNIPPER[sage saga]
2020/01/04(土) 21:22:15.99 ID:DQhBkFB7O
「私はアッシュを誤解していたのかも……」
「父上がなんだって?」

突然父親のことを持ち出されて怪訝な顔をするチビルークに、ティアは考察を口にした。

以下略 AAS



20:名無しNIPPER[sage saga]
2020/01/04(土) 21:25:07.20 ID:DQhBkFB7O
「もしもあなたが本質的な部分でルークに似ているのだとしたらアッシュに反発していた筈」
「父上に、反発なんて……」
「あら? もしかして、怖いの?」

レプリカ・ルークなら、きっとこう言い返す。
以下略 AAS



21:名無しNIPPER[sage saga]
2020/01/04(土) 21:26:53.72 ID:DQhBkFB7O
「皆さん、進路変更です」

翌日、タルタロス弐号機は進路を変更した。
朝っぱらから叩き起こされたガイが、目をこすり欠伸をしつつ、ジェイドに行き先を尋ねた。

以下略 AAS



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