スタートダッシュ
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14:名無しNIPPER[saga]
2020/02/09(日) 02:28:08.25 ID:QhrXPTvL0

 来月に地区、県、地方と続く大会を控えたある日の練習後に、ほぼ初めて彼女から話しかけられた。

『ねえ、走るのってそんなにつまらない? 楽しくない?』

 開口一番にそう言われたものだから、多少は怪訝な目で彼女を見た。
 殊更に真剣な表情もフェイクかもしれない。でも何のための? だいいち彼女はそういう人じゃないな、と言えるほど彼女の内面についてよく知らない。

『ふつう。楽しいといえば楽しいし、つまんないといえばつまんない』

 だから、素直に答えた。
 彼女は首を横にふるふる振った。

『どっちかにして』

『どうして?』

『どうしても』

 目が泳ぐ。
 私が答える前に、彼女は勝手に話を始める。





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