5: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2020/02/13(木) 01:33:23.07 ID:YwNItfWC0
〇
いつかの景色を思い出し、頬が緩む。
ああ、そういえばこれは、そんな始まりだったっけ。
なんて、懐かしい記憶をぼんやりと思い出している内に、乗っていた電車は振動を止めて、響く車掌さんの声は目的の駅名を繰り返していた。
慌てて座席から立ち上がり、逃げるように電車を降りると直後にぷしゅーっと音を立てて背後で扉が閉じた。
危なかった。
ぎりぎり乗り過ごさなかったことを喜びつつ、安堵の息を漏らす。
ぞろぞろとエスカレーター前で列を作る人々を横目に、がらがらの階段を一つ飛ばしで駆け上がる。
そのまま改札を抜けて、集合場所に指定されたモニュメントへと急いだ。
途中、鞄からニットの帽子と伊達眼鏡を出して、着ける。
ここまでは変装はしていなかったが、ここからは違う。
できるだけ、面倒は避けたかった。
一人でいるときならば、ファンの人たちに話しかけられるのは苦ではないし、正直仕方がないと思っている。
だが、誰かといるとき、特に芸能人以外の人といるときはなるべく、そういったことは避けてあげたいと思う。
そういうわけで、私は簡単な変装を施したのちに、足を速めた。
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