渋谷凛「テレフォンパンチ」
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9: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2020/02/13(木) 01:38:15.58 ID:YwNItfWC0



本題を忘れチョコレートスイーツを食べ、思い出しては贈答用の品を購入し、と繰り返し、思いつく限りの渡す予定の分を購入し終えた私たちは、両手にショッパーを提げ、帰路を辿っていた。


「今年も買ったなぁ」

「必要のないものも結構ある気がするけどね」

「余ったら食べよう」

「最初から私の分で買っちゃってるのもあるし」

「でも、嬉しいでしょ?」

「それは、まぁ。そうだけど」

「なら問題なし!」

自分がプレゼントした側であるはずなのに、もらった私より嬉しそうなのだからおかしな人だと思う。

それに、この男はバレンタインという日の意味を未だに理解していないのではないか。

聞く話では逆チョコなるものもあるらしいけれど、今の場合は、そう呼ぶのは適していないような気もする。

まぁ、いいか。

提げたショッパーの一つから、包みを取り出して「ん」と差し出す。

それを受けて彼は、目を数度ぱちぱちと瞬かせ「俺に?」と言う。

「他に、誰がいるっていうの」

「え。いつの間に買ってたの」

「そういうのはいちいち聞かなくていいんだってば」

「……それもそう、か。うん、ありがとう。嬉しいよ」

桜色のパッケージに、ハート形が散りばめられた意匠。

およそ私には似合わない見た目だが、味がよかったのだから仕方ない。

味が。



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