工藤新一「お前、案外可愛いとこあるよな」宮野志保「か、かわっ……!?」
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5:名無しNIPPER[sage saga]
2020/02/18(火) 23:35:33.25 ID:5ksJ/A01O
「で、どうして大学に進学しなかったんだ?」
「もう研究室はこりごりだから、いいのよ」

うんざりした口調でそう説明すると、彼なりに気を遣ったらしく、それ以上追求しなかった。
私の研究は、沢山の人の命を奪った。
自らも服用したAPTX4869を生み出した責任。
よもや毒薬として使用されるとは思わなかったとは言え、知らぬ存ぜぬでは通らないだろう。

「まあ、お前のおかげで元に戻れたわけだし、そう気負うなよ。良薬は時として毒になる」

たしかに、解毒薬を開発したのも私だ。
けれど、あの薬はもともと良薬ですらない。
若返り。不老不死。そんなくだらない目的の為に、好奇心によって作り出した死の劇薬。
あの薬に唯一、意味があったとすればそれは。

「……あなたと出会えた」
「ん? なんか言ったか?」

知れず独りごちると彼の耳に入ってしまった。
さて、どうしたものか。私は思案する。
この頑迷な迷探偵にこの想いを伝えるべきか。
本当に小粒な種から、こんな途方もない気持ちへと成長した、彼に対する秘めた恋慕を。

「……なんでもないわ」
「なんだよ、変なヤツ」

こんなにも頬が上気した私の胸中も見抜けない鈍感な彼こそ、よほど変な名探偵だと思った。


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