24: ◆/S77t7529g[saga]
2020/03/04(水) 21:21:10.61 ID:RftLSH1c0
絆レベル3
やってしまった。自分が嫌になる。肝心の戦闘で役に立てなくちゃ意味がないじゃないか。
敵が強すぎたというのもあるが、やっぱりあたしは今回の戦いではあまり役に立たない気がする。
などと自分の不甲斐なさに自己嫌悪しているあたしに、傷ついたマスターは笑いかけてきた。
なんで笑っていられるんだろう?
立香「え? うーん……暗いよりも明るい方がよくない? 今日ダメだったから明日からもダメなんて決まってないし、今日失敗して生きている事の方が大事だよ」
あまりにも戦士としての心が出来過ぎていて驚いた。長く戦場にいる人間でもここまでハッキリとしているのは多くなかったように思う。
マスターはカルデアに来るまで、戦いの無い平和な場所で生きていたと聞いていたんだけど、これじゃどっちが英雄かわからないなぁ……。
マスターがそんな調子だと、勝手に自己嫌悪している自分が余計に惨めな気がしてきて、いつまでも気にしてても仕方ないと思うことにした。
気を紛らわせる為に今では趣味にもなっている料理をする。
マスターの好きなチーズタルトを作って部屋に持っていく。
部屋の前について部屋に入ろうとして、扉を開けるスイッチに手をかけようとした所で止まった。
マシュの声が聞こえる。
マシュ「先輩、もっと御自分を大切にしてください……。先輩が死んでしまっては何の意味もありません」
立香「うん、ごめんね。僕は大丈夫だよ。ありがとう、マシュ」
聞こえてくる音は小さかったが、何を話してるかはハッキリとわかった。
マスターの声はどこまでも優しい。
そしてあたしは気づいてしまった。
マスターはどこまでも優しくて、強くあろうとして、重荷を背負いすぎて、笑うしかないんだ。
周りが心配するから心配かけないように振る舞う。
状況が悪化していくから、より強くなろうとする。
どんどん追い込まれても、自分ではそれに気づかない。
そんなの、辛すぎる。
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