7: ◆z.6vDABEMI[saga]
2020/03/09(月) 23:39:48.18 ID:6vHR34Kro
……翌日、状況は最悪だった。
「おざーっす」
入ってきた時は普通だった。そう、普通だったんだ!
にっこりとした笑顔が俺を捉えた。なんだか、分からないけれど妙な違和感が部屋を包む。
「あ、おはようございます」
「……」
「……ん?」
「……おはよう」
直感。
あ、こいつ、昨日のやつだ。車のやつだ!
どっから来たか分かんねえ車だ!って言うか、え?今、平子さん、寝てすらなかっ……
「昨日の夜寝てから、ぼくが代わりに出てあげてるよ」
「……え……?」
「ふふ、この体は乗っ取った!ってやつ、やね」
にやにやにや。
ぴたり張り付いた笑顔が、恐怖の対象に一瞬で変貌。こいつ、なんだ?何が目的だ?
「境目が緩くなってるこの子が悪いと思うで」
嫌らしいことに、こいつは───『関西弁のやつ』は、なんと芝居が上手かった。必然、いつものムーブをなぞるために誰にも気づかれない!マジかよ気付いてくれ!でもそんなん言う訳には行かねえし!
俺がたとえばよ、ここでいきなり「みなさーん!この平子さん偽物なんっすよ!こいつ狂ってるんす!」なんて言ってみ?捕まるの俺よ、ぜってえ。
故に。
「……ねえ、この仕事終わったら、ちょっとどっか行かへん?」
ふふ、と張り付いた笑みでそいつが言った。マジ辞めてくんねえかなあそれ。
なんとか仕事をごまかしごまかしでこなす。だけど、この人、上手い。上手いってその演技がとかそう言う事なのかどうかわかんねえけども、俺以外に気付かれないような演技が上手い。
それでも嫁と子供にバレかけたらしく、家では出ないんだと。なんだよお前。
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