【アイマス ×鬼滅】千早「プロデューサーは笑わない」
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1:名無しNIPPER
2020/03/10(火) 23:33:45.11 ID:18fKymV0O
「如月、すまなかった…この通りだ」

 目の前で私のプロデューサー…冨岡義勇さんが頭を下げている。

「本ッ当に、申し訳ありません…私からも謝ります」

 隣でプロデューサーの頭を抑えながら、自分も頭を下げているのは亜美と真美のプロデューサー、名前はたしか胡蝶しのぶさん。

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2:名無しNIPPER
2020/03/10(火) 23:35:08.84 ID:18fKymV0O
「はっきり言って、如月が何故怒っているのかはわからないんだが…」
「ちょっ…!?」
「は?」

 思わず声が出てしまった。嘘でしょう、この人。何かわからないまま謝りに来たの?


3:名無しNIPPER
2020/03/10(火) 23:35:34.06 ID:18fKymV0O
「良ければどうして怒っているのか教えてほしい…」
「バカなんですか?」

 私よりも先に胡蝶さんが声に出してくれた。説明なんて…したくない。


4:名無しNIPPER
2020/03/10(火) 23:36:00.81 ID:18fKymV0O
「けれど、説明してくれなければわからない」
「…さっき自分で原因を言っていたじゃないですか?」
「?」

 あぁ、絶望的に噛み合っていない。胡蝶さんはこの人とここに来る前からの知り合いと言うけれど、こんな風にずっと苦労してきたんでしょうか…いえ、私も他人のことは言えないけれど…。


5:名無しNIPPER
2020/03/10(火) 23:36:30.81 ID:18fKymV0O
「ほら…その…衣装の…ことで」

 胡蝶さんが言い淀む。こんな話したくないだろう。私だってそうだ。絶対自分からは言いたくない。


6:名無しNIPPER
2020/03/10(火) 23:37:05.61 ID:18fKymV0O
「あぁ、衣装の胸元をもう少し絞めるように言ったことか?」
「んんっ!」

 それをこの人はズケズケと…。デリカシーという言葉を知らないんでしょうか?

以下略 AAS



7:名無しNIPPER
2020/03/10(火) 23:37:35.09 ID:18fKymV0O
「なるほど、如月は胸のことについて言われることが嫌だった…ということか」
「…勝手に納得しないでくれますか?」

 久しぶりに口を開くと『ではなぜだ?』というような顔をする。いえ、合ってますよ!合ってますけど…。

以下略 AAS



8:名無しNIPPER
2020/03/10(火) 23:38:05.32 ID:18fKymV0O
「けれど如月は…」
「もう、ちょっと黙っていてくれますか?」

 笑顔のままなのに怖い…。この辺り本気で怒った律子に似てるわね…。

以下略 AAS



9:名無しNIPPER
2020/03/10(火) 23:38:37.44 ID:18fKymV0O
「けれど、本当は優しい人なんです。今回のことも、如月さんの衣装がより素敵に見えるように…」

 本当になんでこの人が一番喋っているのだろう。一番関係の無い、何なら巻き込まれただけなのに、私たちのために…こんなところまで、律子にそっくりね…そういえば、彼女の胸も…くっ…。

「如月、胡蝶の胸元ばかり見てどうしたんだ?」
以下略 AAS



10:名無しNIPPER
2020/03/10(火) 23:39:04.05 ID:18fKymV0O
 気付かなかった。私はついつい胡蝶さんの胸元に目が行っていた。私よりも小柄で、身長も小さいのに…胸は…。

「ちょっと冨岡さん!黙ってろって言いましたよね!?」
「し、しかし…」
「もういいです」
以下略 AAS



11:名無しNIPPER
2020/03/10(火) 23:40:13.66 ID:18fKymV0O
「私もヘソを曲げてしまってすみませんでした。仕事に向かいましょう。プロデューサー」
「いや…俺はまだ…」
「いいじゃないですか。人には相性がありますから。お仕事ですし、仲良しこよしじゃなくてもいいじゃありませんか」

 そう、人には合う合わないがある。決して悪い人じゃないのだろう。私じゃなくて春香や我那覇さん(私にとって前向きでコミュニケーション能力が高い二人)の担当だったのならば上手くいったのかもしれない。こればっかりは組み合わせを考えた社長の責任ね。一体何を考えていたのかしら…。
以下略 AAS



12:名無しNIPPER
2020/03/10(火) 23:40:47.91 ID:18fKymV0O
「…そうか、ならば車を回してくる」

 渋々といった顔でプロデューサーは駐車場に向かった。

「あの…如月さん」
以下略 AAS



13:名無しNIPPER
2020/03/10(火) 23:41:14.64 ID:18fKymV0O
「今回の件は本当に申し訳ありません。私からも冨岡さんに言っておきますので…」
「いえ、何も胡蝶さんがそこまで謝らなくても…」

 どうしてこの人はプロデューサーの世話をやくのだろうか。プロデューサーと胡蝶さんはプライベートでも仲が良いのだと亜美真美に教えてもらったことがある。見た目はもちろん、声も可愛らしい。私よりもアイドルに向いているのではないかと思うそんな人が、どうしてあの人と好き好んで一緒にいるのだろうか。


14:名無しNIPPER
2020/03/10(火) 23:42:00.54 ID:18fKymV0O
「それはもう…ほら、ほっとけないじゃないですかあの人」

 にっこり微笑んでそういう胡蝶さんの笑顔は、普段の笑顔の何倍も綺麗だった。思わず息をすることを忘れるほどに。こういう表情を、私はどこかで見たことがある…どこだったかは思い出せないけれど…。



15:名無しNIPPER
2020/03/10(火) 23:42:33.05 ID:18fKymV0O
「あの人、放って置いたら3日で死んでしまうと思うんです…」
「あぁ…」

 急に深刻な顔に戻った胡蝶さん。気持ちはわからないでもない。

以下略 AAS



16:名無しNIPPER
2020/03/10(火) 23:43:08.51 ID:18fKymV0O
「あの人のことは5歳の弟だと思って接するのがコツです」
「…それは流石に無理が」

 四歳も歳上の相手を五歳児に見立てるなんて至難の技ね…高槻さんならできるのかしら?


17:名無しNIPPER
2020/03/10(火) 23:43:40.89 ID:18fKymV0O
「…そうですね、けど本当に優しい人なんですよ?」
「…失礼します」

 そう言う胡蝶さんは、またあの表情になっていた。何なんだろう。つい最近までどこかで見ていた気がする。あんな綺麗な表情をするのは誰だったのか…。思い出せないまま、私はレコーディングに向かった。



18:名無しNIPPER
2020/03/10(火) 23:44:23.07 ID:18fKymV0O
「下手くそだな、今日は帰ろう」

 レコーディングを始めて五分後の発言だった。

「は?」
以下略 AAS



19:名無しNIPPER
2020/03/10(火) 23:44:54.89 ID:18fKymV0O
「…貴方にはわからないでしょう?スタッフさん、続きをお願いします」
「は、はい…」

 怒らないように、ようやく絞り出した声でスタジオのスタッフさんに続きの音を流すように促す。


20:名無しNIPPER
2020/03/10(火) 23:45:22.53 ID:18fKymV0O
「ダメだ。今日は終わりにする」
「どうしてですか!?」

 意味がわからない。だんだんと我慢も効かなくなってくる。そもそも私だって人付き合いは得意な方ではないのだ。

以下略 AAS



21:名無しNIPPER
2020/03/10(火) 23:45:52.64 ID:18fKymV0O
「つい最近、うちに来て、それまで歌のことなんて何にも知らない貴方に何がわかるんですか!?」

 最早私は怒鳴っていた。けれどそんなことはどうでもいい。私が全てをかけてきた…特に765プロのみんなに支えられながら積み上げてきた今の私の歌を否定されるのが我慢できなかった。


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