【メルルのアトリエ】トトリ「大事にするね」
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2:名無しNIPPER[saga]
2020/03/17(火) 21:36:54.94 ID:xmNjixo30
 ぶどう酒で口の中を洗い流し、ナプキンで口を拭う。心地良い満腹感と酔いに包まれて、椅子の背に軽く体重を預けた。

「美味しかったぁ、ごちそうさま。ありがとうね、ミミちゃん」

「お粗末さま。口に合ったみたいで良かったわ」

 わたしの23歳の誕生日。お祝いがしたいというミミちゃんに招かれて、わたしは彼女の借りている部屋で夕食をご馳走になっていた。ミミちゃんは少し良いぶどう酒を開け、普段あまり目にしないような洒落た料理を振舞ってくれて、わたしは凝った見た目に違わぬ美味に驚いたままあっという間に完食してしまった。

「悪いなぁ、こんなにしてもらって。大変だったでしょ?」

「見た目ほど手間でも無かったわよ。お店で食べてもよかったんだけど、今日はちょっと。ほら、自分で作ってあげたくて」

「ありがたいけど…今日は、なんで?23歳って中途半端だし。ミミちゃん、毎年お祝いしてくれるけど、今年は気合い入ってるというか」

「まあ…気分よ、気分。そんな深い理由は無いわよ」

 ミミちゃんは目を泳がせながら曖昧な返事をする。毎年、ミミちゃんとお姉ちゃんはわたしの誕生日には必ずプレゼントを贈ってくれるけれど。先週わたしを誘う時から違和感があった。二人きりで過ごしたい旨を強調して、ミミちゃんらしくもない。この一週間わたしの前ではいつも緊張していたし、視線を長く合わせてくれない。今だってなんとなくぎこちない。


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