18:名無しNIPPER[sage saga]
2020/03/19(木) 22:45:47.77 ID:z07AMiQQO
  
  その軽快に弾むメロディに乗って、紗夜の行軍は続く。 
  
  もう迷うことはないけれど、それでも彼女の胸には小さな悩みの種があった。 
  
  ――もしも今、この状況を知り合いに見つかったら、なんて言って切り抜けるべきだろうか。 
  
  生徒会室であの大盛りキーボーディストたちの会話を思い起こしてから、決意はした。だけど流石に知り合いに面と向かって「ええ、これからラーメンに。ラーメンは友達ですから」とはちょっぴり言い辛い。 
  
  ラーメン屋まで距離のあるところでエンカウントしたなら言い訳はいくつでも作れるけれど、もしも目前にして会敵した場合はどうするべきか。そういう可能性は低いけれど、なにぶんこの商店街には知り合いが多く住むから、あらゆる状況を考えておかなければならない。 
  
  なんて思うけれど、正直、もうここまで来てしまうと紗夜の頭の中の9割はラーメンに染められていた。もしも今この場で事の是非を問われたら、 
  
 「ラーメンですがなにか? 悪い? 私がラーメンを食べたらいけないの? あなたの理想を私に押し付けないで」 
  
  と一昔前の氷の風紀委員が顔を出しそうな勢いだった。それでも一応考える。 
  
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