29:名無しNIPPER[sage saga]
2020/03/19(木) 22:53:51.55 ID:z07AMiQQO
  
 「よかったですね、日菜先輩」 
  
 「うん! あ、つぐちゃんも」 
  
 「それには及びません」日菜の言葉を遮り、羽沢つぐみは口を開く。紗夜は『計画通り……』と内心であくどい笑みを浮かべた。「実はこれから、蘭ちゃんたちと予定があるので」 
  
  嘘である。でも、こう言っておけば紗夜も日菜も何も気兼ねせずにelysionの扉を開けると思ったから、罪悪感とかそういうものはクロアシネコの小指の爪ほども覚えなかった。 
  
 「そっかぁ。それじゃあしょうがないね」 
  
 「そうね。ふたりで行きましょうか」 
  
 「はい。どうかお幸せに」 
  
  頷き合う双子を見つめて、羽沢つぐみは聖母のごとく穏やかでたおやかな笑みを浮かべた。 
  
  日菜はそれをまったく気にしなかった。おねーちゃんとラーメン! と思った。 
  
  紗夜はちょっとだけ気にしたけど、それよりもラーメンが優先だったから気にしないことにした。 
  
  この日以来、やたらと羽沢つぐみが紗夜と日菜がふたりでいるところを見つけてはとても優しい笑顔を浮かべることになるけれど、それはまた別の話である。 
  
  
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