47:名無しNIPPER[sage saga]
2020/03/19(木) 23:48:03.88 ID:z07AMiQQO
  
  グラスにはまだビールがたくさん残っている。こうしてみると、泡だらけの日菜の方がまだマシだったかもしれないな。そう思いながら、再びグラスに口をつけて一口、今度は一息にビールを喉へ通す。 
  
  炭酸が喉を抜けて、少し熱く感じるアルコールが身体の中にすっと落ちていく。苦味は感じるけれど、少しクセになりそうな感覚だった。 
  
 「……確かにこっちの方が飲みやすいわね」 
  
 「ホント? あたしもやってみよーっと」 
  
  私の真似をして、日菜はぐいとグラスを呷る。そして残ったビールを一気に全部飲み込んだ。 
  
 「ちょっと日菜、そんなに一気に飲んで大丈夫なの?」 
  
 「んー、多分ヘーキ。おねーちゃんの言う通り、こっちの方が飲みやすいね」 
  
  そうして日菜は笑う。その上唇に、白いヒゲが出来ていた。思わず噴き出す。 
  
 「どったの?」 
  
 「……泡が付いてるわよ」真面目くさった声で言いつつ、ティッシュを取って渡す。「鼻の下、拭いておきなさい」 
  
 「ありがと。おねーちゃんも付けてみる?」 
  
 「遠慮しておくわ」 
  
 「ちぇー……」 
  
 「どうして残念そうなのよ、まったく……」 
  
  言葉を交わす。杯を交わす。そうして時間は過ぎていく。 
  
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