3:名無しNIPPER[saga]
2020/03/29(日) 16:38:09.05 ID:O0jAO63X0
 育「待て。お前たち、山賊か。そこで何をしている」 
  
 山賊C「なんだこの小僧?」 
  
 育「隣の茉莉藩の者だ。私用の帰りに、たまたま妙な男たちを見かけたものでね」 
4:名無しNIPPER[saga]
2020/03/29(日) 16:38:39.83 ID:O0jAO63X0
 育「良かった。それじゃあ、頭を伏せてこっちに」 
  
 エミリー「はい!」 
  
 山賊D「あっ、こいつ!」 
5:名無しNIPPER[saga]
2020/03/29(日) 16:39:17.19 ID:O0jAO63X0
 育「させない!」キィン! 
  
 ギュッ 
  
 エミリー「えっ――」 
6:名無しNIPPER[saga]
2020/03/29(日) 16:39:57.41 ID:O0jAO63X0
 育「悪いね」スッ 
  
 キィン キィン 
  
 山賊A「何!? 左手に小太刀……!?」 
7:名無しNIPPER[saga]
2020/03/29(日) 16:40:27.56 ID:O0jAO63X0
 ――関所 
  
  
 隣藩役人「なるほど。道中に出くわした山賊を成敗したか。見事じゃぞ若者。きっと茉莉守様もお喜びだろう」 
  
8:名無しNIPPER[saga]
2020/03/29(日) 16:40:59.46 ID:O0jAO63X0
 茉莉藩役人「ふう……人助けとはいえ、知り合いを欺くのは少々気が引けるな」 
  
 育「ごめんなさい……それと、ご協力感謝します」 
  
 茉莉藩役人「構わんよ。それに、我らの殿だって同じ状況ならそなたと同じことをしただろうからな」 
9:名無しNIPPER[saga]
2020/03/29(日) 16:41:31.06 ID:O0jAO63X0
 育「ごめんね。君を助けるためとはいえ、縄で両手をしばったりなんかして」 
  
 エミリー「いえ。お気遣いありがとうございます。足の疲れも、関所で少し休んだのでもう平気です」 
  
 育「城下までは一本道だけどまだかなり距離があるから、疲れたらすぐに言ってね。それに人通りも少ないし何が起きるかわからない。拙者から離れないでね」 
10:名無しNIPPER[saga]
2020/03/29(日) 16:42:11.56 ID:O0jAO63X0
 育「ところで、エミリー殿はどうして日本に? 隣藩の役人に追われていたようだし、何か事情があるみたいだけど……」 
  
 エミリー「はい。長い話になりますが……私の両親は、故郷英吉利で町医者をしておりました。それが二年ほど前から、自分たちの培った医学を諸外国に広めるべく世界を旅して回っていたのです」 
  
 育「そうだったんだね。なんて立派な……」 
11:名無しNIPPER[saga]
2020/03/29(日) 16:42:44.29 ID:O0jAO63X0
 ――茉莉城 
  
  
 育「――ということで、身の危険にあると思われるエミリー殿のご両親を見つけ出していただきたいのです」 
  
12:名無しNIPPER[saga]
2020/03/29(日) 16:43:23.92 ID:O0jAO63X0
 ――城下町 
  
  
 エミリー「そうですか。育吾郎さまのお父さまは、城下に働きに出ておられるのですね」 
  
13:名無しNIPPER[saga]
2020/03/29(日) 16:44:02.30 ID:O0jAO63X0
 エミリー「ですが、私の国の言葉は日本のみなさんにとっては未知の言語……わからない言葉を話すのは失礼ではありませんか?」 
  
 育「そんなことないよ。わからないから知りたいって思えるんだ。拙者はもっと知りたいよ。エミリー殿のこと、英吉利のこと、西洋の医学のこと……」 
  
 エミリー「育吾郎さま……」 
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