王馬「大変だ!オレが行方不明になっちゃった!」
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30: ◆DGwFOSdNIfdy[saga]
2021/11/09(火) 22:33:53.49 ID:oy+gmJRb0
─超高校級のコスプレイヤーの研究教室─


白銀「王馬君、最原君…待ってたよ」

キーボ「…………」

最原「キーボくん、頭どうしたの?」

王馬「言わんとしている事は判るけど、最悪レベルの語弊があるよ」

白銀「キーボ君が折れたアンテナを無くした件についてはもう聞いてるよね?どうせだからこの機会に新しいのを試してみようと思ったんだ」

そこでは、白銀さんがキーボくんの頭部にアンテナを取り付けていた。アンテナはアンテナでも、何故か直径20cmくらいのパラボラアンテナだけど。

キーボくんは直立不動で声も発さず、眼のパーツを青く光らせているだけである。

白銀「アナタがここに来た理由なら知ってるよ」

王馬「ずっと視てたもんね」

白銀「わたしだけじゃないよ。世界中の視聴者が、ずっとアナタたちの一挙一動一言一句に注目してたんだから」

白銀「つまり、マクロな視野を持ってコロシアイ学園生活を観測していた人が大勢いるって事なんだよ。王馬くんを見付けるには、そういった人たちからの情報提供が必要不可欠だと思わない?」

王馬「別に、そこまでは…」

白銀「折角だし貴重なご意見を聞いていきなよ」

そう言って白銀さんがキーボくんのボタンをカチカチ押すと、ずっと黙っていたキーボくんの口が開かれた。

キーボ「『正直王馬にはしてやられたな』『←言うほどしてやられた感あるか?』『結果的に盛り上がったしなあ』『なんやかや纏めたのは運営評価したい』『エモい雰囲気出して無理矢理締めたけど、結局厳密には誰が殺したのか判らず終いでモヤモヤする』『そこそこの技術使ってるらしいけど結局監視は人力だし色々と限界を感じる』『何が起こったか概ね判明した時点で私は満足したよ』『正直どっちがクロでもそんな変わんねーだろとしか。死ぬタイミングが少しズレれるだけじゃん』『別のクロ候補出てきた時は「おっ」と思ったんだけどな…』『王馬にも百田にも百春にも興味無いから5回目の裁判めっちゃどうでもよかった、そういう意味では王馬の掌の上だったかも知れん』『俺は毎回俺のつむぎが死なないか気が気じゃなかったぞ なお』『nmmnの話題は自重しろ』『最原くんの爪剥いでお守りに生爪剥がしたたい☆』」

最原「みんな好き勝手言ってるね」

王馬「ていうか半分くらいオレ関係無いし」

白銀「新しいアンテナ、まだ試作品だから検索の精度が甘いんだよ。要調整だね」

王馬「別にいいよ。期待してなかったし白銀ちゃんは気にしないで」

白銀「そうは言うけど、キミは不都合な真実から目を反らしたいだけじゃないの?」

王馬「…何が言いたいの」

白銀「わたしたちはもうとっくに王馬君を見付けてる。本当の王馬君はね、みんなそれぞれの心の中にいるの。波動関数が人の意識内で収束するのと同じだよ」

王馬「それはお前らが勝手な解釈をして決め付けてるだけだろ」

王馬「意識解釈に仮託するにしても、不特定多数の意識内にそれぞれ違うオレがいる状態って、とてもじゃないけど収束してるとは言えないでしょ」

王馬「実際に意識を持っている人間がたったひとりだとすれば話は別だけど。そんな存在がいるとしたらそれが誰じゃないといけないかは、解るよね?」

最原「一見大層な事言ってるようだけど、要するに本物の王馬くんは王馬くん自身が見付けないと駄目ってだけの話だよね」

王馬「うん」

白銀「そっか…それが王馬君の希望なんだね」

王馬「違うよ。決め付けるなって」

最原「僕は物理の授業取ってないし、シュレディンガーの猫に関してネットで軽く調べた程度の知識しか無いけど…白銀さんが言ってたようなやつはトンデモ扱いされてた憶えがあるな」

白銀「そりゃわたしだって本気で信じてるワケじゃないよ?そうだったら面白いなーってだけ。本当の意味で全ての真実に興味がある人なんて、一部の変人だけだよ」

白銀「況してやこの筋書きも登場人物も、ファンクションじゃなくてフィクションだっていうのに」

僕たちは反論らしい反論も出来ずに、ただ「キミたちにとってはそうなんだろうね」と言うのが関の山だった。

いつまでもこんな所にいたって仕様が無い。王馬くんを促して部屋を出た。まだ探していない場所は、後1箇所だけになっていた。


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