佐藤和真「こいよ、ゴブリンの王。俺が相手だ!」
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1:名無しNIPPER[sage saga]
2020/04/08(水) 01:24:03.49 ID:/F2ygRZ3O
「ゴブリン退治をしましょう!」
「却下だ」
とある日の朝飯時。
今日も今日とて屋敷にてアクセルの街名産のカエル肉を美味しく貪っていた俺達パーティーの末っ子であるめぐみんが駄々を捏ねた。
「どうしてですか、カズマ!? 駆け出し冒険者ならば、ギルドに駆け込むや否やゴブリンはどこだと尋ねるのが定番でしょうに!?」
「どこのスレイヤーさんだ、それは」
たしかに俺の元居た世界ではそんな寡黙なナイスガイが流行っていたことは確かであり、ついついめぐみんにその話題を口走ってしまったのは俺なのだが、だからと言ってゴブリンを狩って狩って狩りまくる趣味はない。
「私はカズマからゴブリンスレイヤーさんの話を聞いたその時から、この胸に湧き上がる使命感を抑えることが出来ません!!」
「お前はただ単純に、ゴブリンスレイヤーというカッコいい響きに憧れただけだろう」
まあ、たしかに格好良いけどね。
その気持ちはわからんでもないが、どうも人型の生物を狩るのは気が引けてしまう。
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2:名無しNIPPER[sage saga]
2020/04/08(水) 01:27:19.84 ID:/F2ygRZ3O
「カズマ。そのゴブリンスレイヤーとは何者なんだ? 寡聞にして聞き覚えがないのだが」
「アクア。ダクネスに説明してやれ」
「がってん! ダクネス、ちょっと耳貸して」
興味を示したダクネスに説明するのが面倒で同郷のアクアに任せると、流石に食事時ということもあり珍しくも配慮したらしく、ダクネスの耳元にぽしょぽしょ知識を吹き込む。
3:名無しNIPPER[sage saga]
2020/04/08(水) 01:30:05.44 ID:/F2ygRZ3O
「ダクネス、めぐみん。俺の話を聞け」
別に、我儘を言い放題のパーティーメンバーに苛立って声を荒げたわけではない。
静かに語りかけるだけで、2人は口を噤む。
リーダーとして、そのくらいの信頼はある。
4:名無しNIPPER[sage saga]
2020/04/08(水) 01:32:26.63 ID:/F2ygRZ3O
「カズマはチキンなのですか?」
「そもそもお前に私を孕み袋として扱えるのか? なんだかんだ言っても子煩悩な優しい良い父親になりそうな気がするんだが……」
「だぁー! もう! うるせえ! 子煩悩なチキンで悪いか! むしろ褒め言葉だろうが!?」
「まあまあ。それがカズマさんの良さよ」
5:名無しNIPPER[sage saga]
2020/04/08(水) 01:35:44.32 ID:/F2ygRZ3O
「あいつら……まだ半日だぞ」
「そろそろ日が暮れるわね」
口論となったのは朝飯時。
それから半日で奴らは捕まった。
6:名無しNIPPER[sage saga]
2020/04/08(水) 01:39:42.01 ID:/F2ygRZ3O
「なんだ、この穴蔵!」
「まるでダンジョンね」
入口が小さいからと甘くみていたが、穴の中は複雑に入り組んでおり、どこまでも坑道が続いていて闇雲に進むのは危険だ。
7:名無しNIPPER[sage saga]
2020/04/08(水) 01:44:07.37 ID:/F2ygRZ3O
「はあ……はあ……アクア」
「はあ……はあ……カズマ」
「ひとまず、休戦しよう」
「うん……ゴブリンめっちゃおっかない」
8:名無しNIPPER[sage saga]
2020/04/08(水) 01:46:22.74 ID:/F2ygRZ3O
「このくらい我慢しろよ、アクア」
「もう嫌なの! 髪は女神の命なの!」
「あいつらがどうなってもいいのか?」
「よかないわよ!」
「じゃあ、我慢しろ」
9:名無しNIPPER[sage saga]
2020/04/08(水) 01:49:04.46 ID:/F2ygRZ3O
「くっ……ゴブリン共、相手はこの私だ!」
「そうです! 相手はそこのダクネスです! だから私にばっかり群がるのをやめろぉ!?」
ダクネスとめぐみんが囚われた場所は穴蔵で1番広い空間となっており、ダクネスの周囲が閑散としているのに対してめぐみんの周囲にはゴブリンが群がっていた。
10:名無しNIPPER[sage saga]
2020/04/08(水) 01:51:21.55 ID:/F2ygRZ3O
「狙うのは一点……目だ!」
矢を放つ。狙い通り敵の目に突き刺さった。
「ゴガァアアアアアアアアアアッ!?!!」
11:名無しNIPPER[sage saga]
2020/04/08(水) 01:53:29.11 ID:/F2ygRZ3O
「出口だ!」
どれだけ走っただろう。
長い暗闇の先に、星空が見えた。
すっかり夜だが、夜空は明るい。
12:名無しNIPPER[sage saga]
2020/04/08(水) 01:55:48.20 ID:/F2ygRZ3O
「ダクネス、時間を稼げ」
「わかった」
短く告げると、同じく短く返してきた。
ダクネスとゴブリンキングがぶつかる。
13:名無しNIPPER[sage saga]
2020/04/08(水) 01:57:58.53 ID:/F2ygRZ3O
「しょ、正気ですか、カズマ!?」
「正気なわけないだろう。だけどやるしかないんだ。いいからさっさと穴蔵を潰せ!!」
「は、はい! エクスプロージョン!!」
ズズゥン……!
14:名無しNIPPER[sage saga]
2020/04/08(水) 01:59:59.78 ID:/F2ygRZ3O
「狙撃!」
弓矢を放つ。狙いは足。難なく刺さった。
「意外と柔らかいのね」
15:名無しNIPPER[sage saga]
2020/04/08(水) 02:03:27.38 ID:/F2ygRZ3O
「めぐみん、これで最後のマナタイトだ」
「まったく、なにが一騎討ちですか」
「惚れ直しただろ?」
「直すもなにも、一生惚れてますよ!」
16:名無しNIPPER[sage]
2020/04/08(水) 16:39:06.37 ID:xPftbKgco
乙
取りあえず一つ
マナタイトは魔翌力を補給する物じゃない
17:名無しNIPPER
2020/04/08(水) 22:32:09.33 ID:0zhwfxUi0
おつおつ
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