112: ◆qhZgDsXIyvBi[sage saga]
2021/12/15(水) 22:04:48.83 ID:ECNFnKQ+0
 女「……」 
  
  彼女は『それ』に向かっていく。 
  
 男「いやいや」 
113: ◆qhZgDsXIyvBi[sage saga]
2021/12/15(水) 22:06:11.50 ID:ECNFnKQ+0
 男「おじゃまします」 
  
  自然と中に入ると、俺はそう言っていた。 
  
  中身は外側の灰色の鉄の色同様に生活感の無い色をしているのかと思いきや。 
114: ◆qhZgDsXIyvBi[sage saga]
2021/12/15(水) 22:07:28.44 ID:ECNFnKQ+0
  ここまで似ていると不気味過ぎる。 
  
 男「どうなってんだこれ……」 
  
 ?「今回はお早いですね」 
115: ◆qhZgDsXIyvBi[sage saga]
2021/12/15(水) 22:10:50.94 ID:ECNFnKQ+0
  いや、姉ではあるが様子がおかしい。 
  
  いつも綺麗に整えている髪は乱れ、眼鏡を外している。 
  
  胸元も大きくはだけ、服もしわくちゃだ。 
116: ◆qhZgDsXIyvBi[sage saga]
2021/12/15(水) 22:11:54.18 ID:ECNFnKQ+0
 父「父です。……と言っても今のあなたには何がなんだか、でしょうが」 
  
  まったくその通りだ。 
  
 男「あの、なんなんですかこれ」 
117: ◆qhZgDsXIyvBi[sage saga]
2021/12/15(水) 22:15:43.16 ID:ECNFnKQ+0
 男「どういうことですか?」 
  
 父「ちょっと失礼……」 
  
  少し疲れたような顔をして俺の額に手を当てる。 
118: ◆qhZgDsXIyvBi[sage saga]
2021/12/15(水) 22:16:13.60 ID:ECNFnKQ+0
  そして脳内で鮮明なイメージが浮かんでくる。 
  
  現れたのは、さっきの彼女だった。 
  
 父「あなたの記憶です」 
119: ◆qhZgDsXIyvBi[sage saga]
2021/12/15(水) 22:17:01.58 ID:ECNFnKQ+0
 男「不思議っ娘!」 
  
  ふと我に返り、気づくと叫んでいた。 
  
 父「思い出しましたか」 
120: ◆qhZgDsXIyvBi[sage saga]
2021/12/15(水) 22:24:46.39 ID:ECNFnKQ+0
 父「あなたがここにやってきたのは、数えきれないほどの回数に及びます。 
  
   我々が始めて遭遇したことを1回と数えるのであれば今回が記念すべき88888回目です」 
  
  それはなんというか、 
121: ◆qhZgDsXIyvBi[sage saga]
2021/12/15(水) 22:26:15.03 ID:ECNFnKQ+0
 父「時を戻すのは容易ではありません。時は戻ってなどくれないのです。常識です」 
  
 男「それじゃあどうやって」 
  
 父「『時を戻す』というのは、非常に語弊がありますね。 
122: ◆qhZgDsXIyvBi[sage saga]
2021/12/15(水) 22:28:39.12 ID:ECNFnKQ+0
 男「88888日も同じようなことをしているってこと……か?」 
  
 父「それは違います」 
  
   彼は、我が家に酷似しているインテリアを顎で示す。 
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