168:名無しNIPPER[saga]
2020/05/08(金) 00:25:23.33 ID:qTjhoOKq0
  
  「あら? かご、いっぱいだった?」 
   
  「いや、空いてた……けど」 
   
  「……加蓮?」 
   
 何か言い淀むような様子に、母はアイロンのスイッチを切ります。 
 視線を泳がせ、口を開いては閉じる加蓮を、何も言わずにじっと待ってあげています。 
  
  「あのさ、お母さん」 
   
  「なに? 加蓮」 
   
  「……今度、再来週の土曜……遊びに」 
   
 尻切れトンボが飛んで行きました。 
 鼻先にちょこんと留まって、それでも母は待ちます。 
  
 いつの間にか俯いていた視線。 
 何度も深呼吸を繰り返し、加蓮は勢いを付けて顔を上げ、 
 頬を真っ赤にしながら言いました。 
   
  
  「遠足っ! 凛と奈緒と行ってくるから……お弁当、作って!」 
  
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