192:名無しNIPPER[saga]
2020/05/09(土) 19:29:11.09 ID:GVB5f6680
  
 手伝うと申し出た洗い物を受け流され、 
 同じく申し出た父もあら珍しいですねと軽くあしらわれ、 
 加蓮は結局やる事も無く、父と一緒に母の背中を眺めていました。 
  
193:名無しNIPPER[saga]
2020/05/09(土) 19:38:56.69 ID:GVB5f6680
  
 遠足、と、四人はそう言ってくれました。 
 ずっと昔から組み立てていたジグソーパズルの、ずっと欠けていた部分の一つに、 
 今日というピースがぴったりと填まり込むようで。 
  
194:名無しNIPPER[saga]
2020/05/09(土) 19:42:12.42 ID:GVB5f6680
  
 気付けば頭を下げていました。 
 両親に謝るのは、随分と久しぶりのような気がしました。 
  
 二人は何も言いませんでした。 
195:名無しNIPPER[saga]
2020/05/09(土) 19:46:57.13 ID:GVB5f6680
  
  「なんで……っ! なんで、加蓮が、加蓮がっ、ごめんなんて、言うの……!」 
   
  「ご……ごめんなさい……」 
   
196:名無しNIPPER[saga]
2020/05/09(土) 19:52:17.75 ID:GVB5f6680
  
 口に出してしまった言葉の恐ろしさを、加蓮はよく分かっているつもりでした。 
 つもりだけで、何一つとして分かってはいなかったのに。 
  
 十年前のたった一言。 
197:名無しNIPPER[sage]
2020/05/09(土) 20:00:04.55 ID:GVB5f6680
  
  
 最初に取り戻した感覚は二つの暑苦しい熱でした。 
 何か声を絞り出そうとして思い切り咳き込みます。 
  
198:名無しNIPPER[saga]
2020/05/09(土) 20:05:27.01 ID:GVB5f6680
  
 二つの熱から声が響いて、どうも両親のものによく似ていました。 
 前から、後ろから挟むように抱き締められ、 
 ただでさえ細い身体が押し延ばされてしまいそうです。 
  
199:名無しNIPPER[saga]
2020/05/09(土) 20:11:44.36 ID:GVB5f6680
  
  
  ――ねぇ、神様。 
   
  
200:名無しNIPPER[saga]
2020/05/09(土) 20:14:50.35 ID:GVB5f6680
  
  【Z】イージー・ライダー 
   
  
 何せ広いものですから、入ってくる所が違えば途中の道順も全く異なります。 
201:名無しNIPPER[saga]
2020/05/09(土) 20:20:05.72 ID:GVB5f6680
  
  「今日って大安だっけ?」 
   
  「ああ」 
   
202:名無しNIPPER[saga]
2020/05/09(土) 20:24:05.55 ID:GVB5f6680
  
 憑き物。 
  
 改めて他人の口からそう表現されると、 
 何だか小気味好い気分がして、加蓮は小さく笑いました。 
307Res/234.17 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 
書[5]
板[3] 1-[1] l20