222:名無しNIPPER[saga]
2020/05/10(日) 00:31:15.82 ID:7gnP6kF90
  
 届く前に消えてしまいそうな言葉へ、二人は深く頷きました。 
  
  「笑いません」 
   
  「……ほんと?」 
   
  「笑わない。笑ったら渋谷さん呼んで、ぶん殴ってもらう」 
   
  「こわい夢を、みるんだ」 
   
  
 二人が静かになって、加蓮が話しやすくなりました。 
  
  
  「暗くて、戻って、ぜんぶ失くす夢。 
   あんまり寝たくなくて……走ってただけ」 
  
   
 もっと何かを話そうとして、話せませんでした。 
 口に出してしまえば、それが形となって襲い掛かってくるんじゃないかと、 
 そんな想像をしてしまったから。 
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