90:名無しNIPPER[saga]
2020/04/30(木) 20:24:55.06 ID:QqIdgo5i0
  
 胸の内で幾つもの、幾つもの言葉が激しく渦を巻き、 
 なかなか喉から出て来てくれません。 
 ただ何度も握られる拳に、プロデューサーは笑いました。 
  
91:名無しNIPPER[saga]
2020/04/30(木) 20:29:26.32 ID:QqIdgo5i0
  
  
  
  薄荷 -ハッカ- (北条加蓮) 
  
92:名無しNIPPER[saga]
2020/04/30(木) 20:31:15.75 ID:QqIdgo5i0
  
  「……薄荷」 
   
  「ああ。加蓮の曲だ」 
   
93:名無しNIPPER[saga]
2020/04/30(木) 20:37:35.10 ID:QqIdgo5i0
  
  「イヤじゃ、ないよ」 
   
  「……そう、だよな。軽率過ぎた。すまない、加蓮」 
   
94:名無しNIPPER[saga]
2020/04/30(木) 20:56:42.12 ID:QqIdgo5i0
  
  
  『薄荷 -ハッカ-』 
  www.youtube.com 
  
95:名無しNIPPER[saga]
2020/04/30(木) 21:00:54.34 ID:QqIdgo5i0
  
 満ち足りた五分三十秒が再びのピアノソロで締め括られました。 
 イヤホンを外すと冷たい風が頬を撫で、そういえば今は冬だったっけと遅れて思い出しました。 
  
  「プロデューサー」 
96:名無しNIPPER[saga]
2020/04/30(木) 21:06:04.98 ID:QqIdgo5i0
  
 雛鳥でも暖めてあげるかのように、 
 小さな音楽プレーヤーを両手でそっと包み込んで。 
 一旦緩めた箍は締め直す事も叶わず、 
 柔らかな笑みはいっそ、春の雪解けのように。 
97:名無しNIPPER[saga]
2020/04/30(木) 21:14:48.17 ID:QqIdgo5i0
  
 むっ、と、加蓮がおとがいに指を添えて唸りました。 
 そのままむむむと唸ったかと思うと、指を三本、伸ばします。 
  
  「三倍返しするから」 
98:名無しNIPPER[saga]
2020/04/30(木) 21:23:58.23 ID:QqIdgo5i0
  
 彼の言葉通り、アニバーサリーライブ後の加蓮は以前にも増して熱が入っています。 
 ポテトだったらからりと揚がるくらいです。 
 所属当初は液体生物と化していたダンスレッスンも、 
 最近は何とかヒトの形を保ったまま終える事が出来るまで成長を遂げました。 
99:名無しNIPPER[saga]
2020/04/30(木) 21:33:16.91 ID:QqIdgo5i0
  
  「単語レベルだよ。聞き齧りの付け焼き刃。で?」 
   
  「正解だよ。俺の意図はそれだけど」 
   
307Res/234.17 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 
書[5]
板[3] 1-[1] l20