7:名無しNIPPER
2020/05/05(火) 18:56:15.59 ID:XnGtX3Tv0
 ◆ 
  
  
  
  
8:名無しNIPPER
2020/05/05(火) 18:57:39.33 ID:XnGtX3Tv0
 「ほんならこれにでも書いたら?」 
  
  そう言うとシューコは帯の隙間から葉を取り出して紗枝に渡す。 
  そう、紙ではない。葉である。 
  
9:名無しNIPPER
2020/05/05(火) 18:59:30.97 ID:XnGtX3Tv0
  紗枝達が住まうこの国、『霞皇国』は街並みやら行事こそ古風な伝統を尊重しているものの文明に関して他国に大きく後れを取ってなどいない。 
  
  イルミネイト王国のような特殊な物資が無くとも下々の民家にもきちんと明かりは灯るし今や洗濯とてボタン一つで乾燥まで終わる。 
  クローネ帝国ほど国土も人口も大きくはないが経済は安定しているし軍事力もそれなりにある。 
  最近帝国が作ったという空飛ぶ鉄馬は作れないが空を往く移動手段はあるしそのための空港も最近新しくなった。 
10:名無しNIPPER
2020/05/05(火) 19:00:24.60 ID:XnGtX3Tv0
 「おっと、そろそろ街も近いからこの辺でええ?」 
  
  紗枝が気が付くと、既に見慣れた街並みだった。 
  葉に気を取られていたが気付かぬ内に随分と早く帰ってこられた。まだ空に一番星は見えていない。 
   
11:名無しNIPPER
2020/05/05(火) 19:03:30.30 ID:XnGtX3Tv0
 ◆  
  
  
  
  雨季に差し掛かろうかという頃。すっかり山の木々は生い茂り夜には蛙の鳴き声も目立つようになってきた。 
12:名無しNIPPER
2020/05/05(火) 19:05:15.45 ID:XnGtX3Tv0
  
  紗枝はシューコにあの日以来会っていない。 
  帰りが遅くなったせいでしばらく監視の目が厳しくなったり稽古が長引いたり天気が悪かったり 
  理由は様々あれどさすがに日を空けすぎたかもしれない。そろそろ一月近く経ってしまう。 
  
13:名無しNIPPER
2020/05/05(火) 19:08:49.67 ID:XnGtX3Tv0
  
 ◆ 
  
  
  
14:名無しNIPPER
2020/05/05(火) 19:11:58.19 ID:XnGtX3Tv0
  
 「で、この……文字、どういう意味なんだっけ?」 
  
 「えっとね、まずこっちが……」 
  
15:名無しNIPPER
2020/05/05(火) 19:12:53.56 ID:XnGtX3Tv0
   
  
 「随分気に入っとるんやね〜誰につけてもろたん?」 
  
 「お母はん!」 
16:名無しNIPPER
2020/05/05(火) 19:16:39.14 ID:XnGtX3Tv0
  人間は些細なことで思い悩んでしまうもの。 
  そんな者達をシューコは幾つも見てきた。 
  
  老若男女問わずそうだ。 
  一つ悩んで歩みを止めて、再び進んでまた悩む。 
17:名無しNIPPER
2020/05/05(火) 19:19:46.98 ID:XnGtX3Tv0
  
  
 「ねぇ、紗枝ちゃん」 
  
  腰を上げて、紗枝の正面、再びしゃがんで、顔を見上げて 
58Res/98.34 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 
書[5]
板[3] 1-[1] l20