9: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:02:00.20 ID:5z9OpdEU0
どうやら店主らしい男が何度も頭を下げ、客がそんなことにはおかまいなしで怒鳴りつけているらしい。
「だから酒を出せってんだろうが、えーーーつ!?」
「すみませんが、何度も申し上げました通り今日はもう店じまいでして…」
10: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:02:35.37 ID:5z9OpdEU0
ああ…あのお客さん酔いすぎだよ…全然お店の人の話聞いてないし…)
(そういえば、去年魔人さんに出会った時もこんなシチュエーションだったなあ…)
少し懐かしい気持ちが沸くが、ともかく黙って見過ごすことはできない。
11: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:03:30.09 ID:5z9OpdEU0
「あのぅ…そのくらいにしませんか…?」
「おーん?なんだあテメェ…?」
「お店の人、今日はもう閉店だって言ってるじゃないですか…別にお客さんのことがどうとかじゃなくて…とりあえずまずは落ち着いて…」
12: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:04:29.00 ID:5z9OpdEU0
「はうっ」
酔っ払いがまりを突き飛ばす。
不意を突かれたまりが後ろ向きに倒れる。
13: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:05:47.24 ID:5z9OpdEU0
――かに思われたが、何者かがその背中を受け止め、優しく声をかけた。
「まったく、相変わらず揉め事に首を突っ込むのが好きなようだな、君は」
それは、まりがよく知った声であった。
14: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:06:25.50 ID:5z9OpdEU0
「紅さん!」
「久しぶりだな、まり。春の任務以来か」
まりを支えた女性――心願寺紅がまりに微笑みかけた。
15: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:07:16.94 ID:5z9OpdEU0
「すまないが、店主はこの後私と約束があるんだ。今日は別の店に行ってくれないか」
「何度も言わせるなってんだろ!俺は九龍会だぞ!?俺が酒を出せって言ったら出すんだよえーっ!」
「九龍会?…ああ、お前あそこの構成員なのか。あのシフォンとかいう女のいる…」
16: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:07:48.59 ID:5z9OpdEU0
ビシッ。
「痛ぅっ!?」
――が、瞬く間に紅の鋭い手刀で弾き飛ばされてしまった。
17: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:08:50.47 ID:5z9OpdEU0
「本の魔人を取り逃がしてからは大人しくアミダハラに帰ったと思っていたが…またセンザキに出しゃばってきているのか。ご苦労なことだな」
「ほ、本の魔人だあ…?テメェなんでそんな古い話を知って…る…」
手刀を食らった痛みが酔いを中和したのか、焦点の定まらなかった男の目がようやく紅をはっきりと見据えた。
18: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 17:09:53.84 ID:5z9OpdEU0
「おまっ…対魔忍………あのときの…」
「なんだお前、あのとき私にのされた連中の一人か」
ずい、と紅が前に歩み出る。酔っ払いは素早く後ずさる。
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