【ミリマス】あなたの温度、幸せの温度
1- 20
16: ◆ncieeeEKk6[sage saga]
2020/05/19(火) 17:54:32.93 ID:U1swVBcn0



 事務室の蛍光灯は窓側だけ点いていた。部屋中のどこを探してもバースデーパーティーの面影はない。光っている一部の蛍光灯がまるでスポットライトのように、ソファーに座っている誰かの後ろ姿を照らしている。
 麗花だ。
 照明をすべて点灯させると、来訪者の存在に気付いた彼女は振り返った。

 「あ……!」

 麗花は一拍だけ呆気にとられたような顔を見せたが、すぐに笑みへと表情を変えた。

 「プロデューサーさん! お帰りなさい!」

 「……ただいま、麗花」

 「プレゼント、ありがとうございました!」

 「ああ、誕生日おめでとう。……ごめんな、直接渡せなくて」

 麗花の様子には特に変わったところがないように思える。心配しすぎただろうか。……いや、こんな時間まで帰らず劇場に残っているなんて普通じゃない。麗花の笑顔をよく見てみると、いつもの笑みと違って何かが混ざっているような気がした。喜びや楽しさとは違う何かが。

 「プロデューサーさん、後ろを向いてくれませんか?」

 「後ろ?」

 その何かの正体がわからなくて言葉を続けられずにいると、麗花にそう言われた。逆らう理由もないので、言われるがままに振り向く。何かあるのかと思ったけれど、壁と棚、そしてドアが見えるいつもの光景だった。

 「麗花、いったい──」

 言い切る前に、背中に何かがぶつかってきた。振り向き直そうにも、体に手を回されて動くことができない。
 麗花が抱きついてきたのだ。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
24Res/24.12 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice