2: ◆ncieeeEKk6[sage saga]
2020/05/19(火) 17:44:18.22 ID:U1swVBcn0
chapter 1. 90℃ / tea
「プロデューサーさん、だいたい90℃なんですよ」
語尾に音符が付きそうな声で麗花は言った。麗花はいつも楽しそうで、それは本当にいいことだと思う。けれど会話を続けるためには1つ、どうしても聞かなければならないことがあった。
「90℃って、何が?」
「お茶が美味しくなるお湯の温度です。ちなみに、プロデューサーさんが1番美味しくなるのは何℃ですか?」
「え? うーん……まあ何℃でもあんまり美味しくないと思うけど」
「そうなんですか? プロデューサーさん、美味しそうなのに……」
「……それは、例えばどの辺りが?」
「むむむ……」
「いや、真剣に考えなくていいぞ。どうせ美味しくないから」
「じゃあ、美味しくなったら言ってくださいね!」
麗花と話していて目眩を起こしそうになったのは久しぶりだ。慣れたと思えば軽々とそのラインを飛び越えてくる。流石としか言いようがない。
彼女が「美味しそう」と言うのは、本当に美味しそうだと思ったときだ。まさかこのタイミングでカニバリズムに目覚めたのだろうか。だとするとちょっとマズい。カーニバルならともかく、カニバリズムアイドルのプロデュース方針なんて思い付かない。
あるいは、太ったことを遠回しに伝えたいのかもしれない。そうだとしても、彼女なら「デブデューサーさん」くらいは言いそう……流石に言わないか。そもそも体重は近頃右肩下がりだ。
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