11: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2020/05/21(木) 19:43:07.89 ID:wq3E2ozi0
プロデューサーに「少し待って」と言い、鞄を漁る。
そして私は、例の文庫本ほどのサイズの外国語の辞書を取り出した。
カバーを外しポストイットが挟まれているページを、ぱかりと開く。
そこには、ある単語に印がされていて、すぐ隣の例文とその和訳にマーカーが引いてあった。
その例文の和訳は至ってシンプルで「友達になる」とある。
なるほど、と思った。
「プロデューサー?」
『ん』
「私とアナタは、アイドルとプロデューサーよね?」
『ああ。そうだね』
「でも、私思うの」
『何を』
「私とアナタ、結構良い友達になれるんじゃないかしら」
『…………』
しばらくの間、沈黙が訪れて、そののちに彼は『そう来たか』と呟いた。
「これなら文句はないでしょう? アナタが友達の誘いを無下にするほど薄情な男だと言うならば話は別なのだけれど」
『まさか』
吹っ切れたのか、彼は軽やかに言い切る。
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