黒埼ちとせ「メメント・ウィッシュ」
1- 20
15:名無しNIPPER[sage saga]
2020/06/11(木) 19:52:53.65 ID:fM9nM/xA0
『……以上のことから、今回のマッチアップはぎりぎりまで保留しておくのが妥当と考えられます。メディアへのかく乱と情報操作、及び興業の進行、事後処理については全て私の一任で行わせていただく所存であります』

 何一つ怯むことなく、海千山千の古狸が揃った上層部を相手に言い放った、十時さんのプロデューサーの姿を思い返す。
 それはつまり興行が失敗に終わったり、情報がどこかに漏れたりすれば自分が腹を切るという宣言に他ならなかった。
 正直、意外だった。理由はわからない。ただ、彼も今回のマッチアップには積極的で、そしてその働きがなければ俺の要望はいかに手管を尽くしたって通らなかったといっても過言ではない。
 上層部にとって彼の存在は無視できないものだ。何せ老舗事務所の資本力によるバックアップがあったとはいえ、立ち上げたばかりのアイドル部門とそのプロジェクト全体を背負って一大コンテンツに、それこそプロジェクト・シンデレラガールズを765プロオールスターズに匹敵する存在に育て上げた人間なのだから、その功績は計り知れない。
 感謝はしている。彼に足を向けて寝られないとも思っている。ただ、それでも。

「わからないなあ」
「お前がですか」

 彼がどうして、仏頂面で「魅入られている」と俺に警告じみた言葉を残したのだ、恐らく嫌っているだろうちとせと十時さんのLIVEバトルに協力的なのか。それとも俺がそう思い込んでるだけで、真実は違うところにあるのか。
 背後から千夜の声が聞こえたのは、そんなことを考えてああでもない、こうでもないと唸り声を上げていたときだった。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
37Res/55.36 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice