ロード・エルメロイU世「最初からそれがお望みだろう、レディ?」
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2:名無しNIPPER[sage saga]
2020/06/15(月) 22:33:34.97 ID:uimHEu7hO
「では、乾杯」
「有り難く、頂こう」

控え目に杯を掲げて、まずはひとくち。
豊潤な甘みが貴腐ワインの特徴である。
以下略 AAS



3:名無しNIPPER[sage saga]
2020/06/15(月) 22:37:11.57 ID:uimHEu7hO
「しかし、我が兄よ」
「む。なんだね、レディ」
「我が兄は些か欲が無さすぎる」

気持ち良さげに講義を続ける酔っ払いロード・エルメロイII世に付き合うのも義妹の役目かも知れないが、私はサディストである。
以下略 AAS



4:名無しNIPPER[sage saga]
2020/06/15(月) 22:38:52.95 ID:uimHEu7hO
「またそのようなことを……」
「おや、我が兄よ。酔いが醒めてしまったのではないか? ほら、もっとぐっといけ」
「そうはいくか! これ以上酔わされて好きにされてたまるか! そろそろ帰りたまえ!!」

流石に警戒されてしまったようで、グラスに手で蓋をしつつ帰宅を促す義兄に私は。
以下略 AAS



5:名無しNIPPER[sage saga]
2020/06/15(月) 22:42:00.50 ID:uimHEu7hO
「こうなったらヤケだ! じゃんじゃん持ってこい! いくらでも飲んでやる!!」
「よし、わかった。酒の貯蔵は充分だ」

ついに屈服した義兄にたらふく飲ませる。
先述した通り、ロード・エルメロイII世はあまり酒が強くないのですぐに酔い潰れた。
以下略 AAS



6:名無しNIPPER[sage saga]
2020/06/15(月) 22:45:04.30 ID:uimHEu7hO
「先生はやめてくれ。それは君だろう?」
「あ、ああ……すまない。つい、君にケイネス先生を重ねてしまって……」
「ウェイバー・ベルベットと先代エルメロイは不仲だったと聞いているが?」
「それでも私はたくさんのことを教わった。だから、恩師であることには変わりない」

以下略 AAS



7:名無しNIPPER[sage saga]
2020/06/15(月) 22:47:17.81 ID:uimHEu7hO
「ふふふ。本当に甘いな、我が兄は」
「ふん。なんとでも言え」
「私はエルメロイの次期当主だぞ? これが罠であると、どうして気づけない?」
「やはりそうか。だが、たとえ罠であったとしても泣いている義妹を放ってはおけない」

以下略 AAS



8:名無しNIPPER[sage saga]
2020/06/15(月) 22:49:29.51 ID:uimHEu7hO
「いいねえその顔! その顔が見たかった!」
「レディ……君は、歪んでいる」
「フハハッ! そうとも! 私は歪んでいる! ああ、我が兄よ。私の愛しい愛しい、愚かなお兄様。お顔が青いですよ? 私はそのお顔が狂おしいほどに、見たかった……!!」

そう、全てはこの時のため。
以下略 AAS



9:名無しNIPPER[sage saga]
2020/06/15(月) 22:51:54.94 ID:uimHEu7hO
「お兄様。愚かなライネスに早く罰を……」
「本当ならば張り手のひとつでも振るい矯正するべきなのかも知れんが、それは私の性分ではない。君はそれを甘さと呼ぶだろうが、時と場合によってはそれが武器にもなる」

義兄は私を抱擁したまま離さない。
むしろより強く、抱きしめてきた。
以下略 AAS



10:名無しNIPPER[sage saga]
2020/06/15(月) 22:53:56.25 ID:uimHEu7hO
「まったく、君には本当に手を焼かされる」
「ふふふ。困った教え子のほうが愛着が湧くだろう? 我が兄の好みは熟知しているとも」
「私の胃を少しは労りたまえ、レディ」

労われと言われたので、義兄の腹を撫でた。
以下略 AAS



11:名無しNIPPER[sage saga]
2020/06/15(月) 22:57:20.99 ID:uimHEu7hO
「初めて会った頃より、随分伸びたな」
「我が兄はおかっぱ頭のほうが好みかね?」
「正直、めちゃくちゃ可愛かった」
「そ、そうか……じゃあ、切ろうかな」
「何故だ? 勿体ない。魔術師の髪は魔力を宿す優れた触媒だ。なるべく大切にしたまえ」
以下略 AAS



12:名無しNIPPER[sage saga]
2020/06/15(月) 23:00:12.98 ID:uimHEu7hO
「つくづく征服王のマスターとは思えない発言だな、ウェイバー・ベルベットよ」
「奴の臣下だからこその発言だ。ボクは決して、その在り方を損なわないと決めている」

あくまでも自分は王の臣下。
そう、彼は自らを位置付けているらしい。
以下略 AAS



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