16:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 17:18:26.09 ID:W5lmC8VA0
「…………」
私の姿を観察し、この子なりに何かを得心したのか、やがて彼女はニコリと小さく微笑んだ。
それは、相手との間合いを量るための、打算的な取り繕いとは違う。
最初こそ驚いて警戒させちゃったみたいだけれど、私に悪意が無い事は理解してもらえたみたい。
「猫、逃げちゃった。ごめんね?」
こちらを向いた彼女の手には、玩具のように小さなカメラがあった。
きっと、貴重なシャッターチャンスだったんだろう。
「いいえ」
そんな私に、彼女は柔らかな表情を変えないままかぶりを振る。
「あの子とは、時々この公園で会うんです。
それに、写真を撮ること自体は、あまり目的ではないですから」
「ふぅん……?」
目的でもないのに、わざわざカメラを持っていくの?
イジワルを言いたい訳じゃないけど、私を思いやろうとして、強がっているみたい。
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