40:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 18:19:47.67 ID:W5lmC8VA0
 「よし、間に合ったか」 
  
  振り向くと、魔法使いさんがやけに力のこもった様子で頷いていた。 
  
 「この番組、好きなんだ。 
41:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 18:22:53.93 ID:W5lmC8VA0
 『コンニチワー☆』 
 『フレデリカさん、今日は聞きたい事があります。 
  最近、とある事がどうしても気になってしまうあまり、夜しか眠ることができません』 
 『夜眠れるのは別に普通じゃない?』 
 『フレデリカさん、唐突にマジレスすんのビックリするからやめて』 
42:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 18:25:07.65 ID:W5lmC8VA0
 「面白いだろ?」 
  
  後ろから、魔法使いがクックッと笑う声が聞こえる。 
  
 「ごめん、ちょっと話しかけないで」 
43:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 18:28:38.76 ID:W5lmC8VA0
 『あー、昔のキリンさんは、今ほど首が長くなかったんだ?』 
 『そうそう! 
  たぶんパパが子供の頃、買ってもらった風船が高い所に引っかかっちゃって、 
  うぇーん、ダディー、風船が飛んでっちゃったよー、って泣いても、その時のパパのパパは首が長くなくて、 
  おぉぉマイサン、すまない、私ではどうすることもできないのだよ、なんて』 
44:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 18:30:38.97 ID:W5lmC8VA0
 『あっぶなぁ〜。咄嗟にあたし渾身の激寒ギャグを出しちゃったわぁ〜』 
 『あ、そっかー☆ これ言っちゃいけない話だったね、ゴメンゴメン』 
 『フレちゃん、そんな話よりも美嘉ちゃんのさ、この間のファミレスの話でもしたらどう?』 
 『えっ、ミカちゃん?』 
 『ほら。タバスコモリモリのピザを志希ちゃんに食べさせられて、お婆ちゃんみたいな喋り方になった話』 
45:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 18:33:03.62 ID:W5lmC8VA0
 「無闇に殺しちゃうのは、可哀想だよ」 
  
  千夜ちゃんなら、彼よりも手際よく始末しちゃうんだろうなぁ。 
  そんな事を考えながら、私はそばにあったコピー用紙を一枚取り、その子をその上へ招き入れる。 
  
46:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 18:37:03.43 ID:W5lmC8VA0
 「……あぁ。なんかで見た記憶があるな」 
  
  何で今その話をするんだ、って顔に書いてある。 
  本当に、呆れるくらい正直な人。 
  
47:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 18:39:22.10 ID:W5lmC8VA0
  彼は手を止め、私を見上げた。 
  
 「お前や千夜を、トップアイドルに育て上げることだ」 
 「それは、あなたのプロデューサーとしての仕事の話でしょう?」 
  
48:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 18:40:55.41 ID:W5lmC8VA0
 「何かあったのか?」 
  
  心配そうに、あるいは少し、臆病そうに、彼は再度問いかける。 
  
  私なんかのために、いちいち真に受けてくれるの――ほんと、おっかしい。ふふっ。 
49:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 18:43:35.91 ID:W5lmC8VA0
  いつの間にか、フレデリカちゃんの番組は終わっていたみたい。 
  
  ラジオは今、過払い金がどうとかいう何とか法律事務所のコマーシャルを流している。 
  魔法使いさんがしょっちゅう流すから、私まで覚えちゃった。 
  
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