50:名無しNIPPER[saga]
2020/07/12(日) 21:44:10.12 ID:qe4+sBJv0
 ヨハネの疑問は解決されることなく、ただ時間だけが過ぎて行く。 
  
 1週間ほど経った頃。 
  
 花丸と遊ぶ元の日常が戻ってきたと思っていた矢先のことだった。 
  
 「ヨハネ……ちゃん……。頭がふらふらする……。」 
  
 顔を真っ赤にした花丸は覚束ない足取りで現れると、ヨハネにもたれ掛かるようにして、倒れ込んでしまったのだ。 
  
 「花丸……花丸!」 
  
 ヨハネの呼びかけにも応えない。 
  
 今すぐにでも、花丸の家まで飛んでいきたいが、今の花丸は動かすのも危なそうな状態だ。 
  
 涼しげな木陰に花丸を寝かせると、自分が影になるように大きい翼で花丸を覆った。 
  
 「花丸……お願い……。」 
  
 花丸を助けたい。 
  
 もっと花丸と一緒にいたい。 
  
 その想いしかヨハネには無かった。 
  
 頭の中には常にマリーに告げられた言葉がこびりついている。 
  
 それでも、ヨハネは奇跡を信じるしかなかった。 
  
 (お願いです……私がどうなってもいいから……) 
  
  
  
  
 ────── 
 ──── 
  
  
 「これは一体……?」 
  
 すぅっと目に見える速さで、花丸の頬の紅潮が取れていく。 
  
 氷に漬けているかのように、燃えるほど火照った身体から熱が消えていく。 
  
 「な……なんなの、これは……?」 
  
 目の前で起きる異様な現象にヨハネの目は釘付けになっていた。 
  
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