65:名無しNIPPER[saga]
2020/07/12(日) 21:59:56.88 ID:qe4+sBJv0
花丸の背中を優しく撫でてあげる。
目の前でこんもりと盛り上がった土は、墓と呼ぶにはあまりにも簡素だった。
こんな幼子が大事な家族を亡くして、平気でいられるわけがない。
「ヨハネちゃん、ありがとう。」
目の前で無理して笑顔を作っている花丸は、知らないのだ。
私が花丸を助けたいがために、その他大勢の生き物の命を犠牲にしたことを。
私のせいで、花丸のたった一人の家族が亡くなったことを。
本当だったら今頃、花丸はこの世にいないことを。
「あのね、花丸。」
──私が真実を打ち明けたら、受け入れてくれるだろうか。
「花丸に言わなきゃいけないことがあるの。」
──仮面を外した「悪魔」を、それでも抱きしめてくれるのだろうか。
「私は──」
その場の時間が止まって、自分の鼓動だけが動いているような気がした。
「あなたの悪魔なの。」
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