黒木智子「じ、自信と言われても……」加藤明日香「私は黒木さんのこと、好きよ」
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8:名無しNIPPER[sage saga]
2020/08/01(土) 20:57:40.44 ID:iOPaGb61O
「はぁーあ。フラれちゃったな」

つまらなそうに溜息を吐いて、机に頬杖をつく加藤さんが今、どんな表情をしているのかは、膝枕されている私からは伺い知れない。

けれど、僅かに震えた声音と、顎に滴った雫が西陽に反射して光り、それを見て咄嗟に。

「も、もしもっ」

この人の涙をどうにか止めたくて。だから。

「もしも……私が、男に生まれて」

ブスなりにコミュ症なりに、考えて考えて。

「加藤さんと、仲良くして貰えたとして」

今日みたいに優しくされて好きと言われて。

「そしたらきっと私はあなたに憧れて……」

釣り合わない自分を呪い。でも諦めきれず。

「私なりに努力して、ブサイクなりの努力の結果、好意を抱いて貰えたら、その時はっ」

誰のせいにもせず自分で乗り越えられたら。

「その時は私と、おお、お付き合い……!」
「ごめんね、黒木さん」
「へ?」
「膝枕をしている手前、黒木さんを起こしたら悪いと思って言い出せなかったんだけど、実は私、ずっと前からおしっこがしたくて」

おしっこ、だと。待て待て。ちょっと待て。

「ご、ごめん! すぐに退くからっ!?」
「謝るのは私の方よ。遅かったみたい」

ちょろんっ! と、耳元で清らかな音がした。


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