43: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/08/10(月) 09:40:24.09 ID:fbURo3hcO
 驚きのあまり固まっている私に、自称魔王は笑いかけた。 
  
 「お前が思うほど、オルランドゥの情報管理は堅くないんだよ。 
 お前が一週間後の学会に合わせて発表する新魔法『追憶』。そのことぐらい、俺は知っている。そして、お前を狙った連中もどういうわけか知っていた」 
  
 「……え」 
  
 「『追憶』はこれまで国家が秘密としてきた機密を暴きかねない。権力者にとっては、この上なく危険な魔法だ。 
 だから、『追憶』のことを知ったならお前を消したいと思ってる連中は少なくないはずだ。殺すまではいかなくても、生涯自分の監視下に置こうとするだろう」 
  
 「嘘……じゃあ、昨晩のも」 
  
 「多分な。どこの誰かは分からない。少なくとも、今日の新聞には昨日の殺しのことは書いてない」 
  
 そう言うと、魔王はポイと私に新聞を投げた。 
  
 「俺も軽く死体をあらためたが、証拠はなしだ。まあ、魔族じゃなかったからズマの人間じゃない」 
  
 「そん、な……」 
  
 「だから、お前に選択肢はない。このまま魔術学院に戻っても、昨日みたいに襲われるのが落ちだ。俺と一緒に、サンタヴィラに行くしかねえんだよ」 
  
 「……『サンタヴィラの惨劇』には、生き証人の『3聖女』もいるわ。魔王が国を滅ぼしたのは、歴史的な事実……」 
761Res/689.43 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 
書[5]
板[3] 1-[1] l20