高森藍子が一人前の水先案内人を目指すシリーズ【ARIA×モバマス】
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◆jsQIWWnULI
2020/08/08(土) 18:33:36.66 ID:b+VIQ/E60
『マルコポーロ国際宇宙港へようこそ』
『ネオ・ヴェネツィアに観光のお客様は三番窓口を……』
宇宙船から降機して、二番ゲートを通った私は、多くの人で溢れているロビーを抜け出し、出口へと駆ける。
「……スゥ……」
そして、出口から出てまず最初に思いっきり息を吸い込んだ。鼻腔を通って身体全身に巡るのは、マンホームでは嗅げない匂い。なんだかとっても懐かしい気分にさせてくれる、海の匂いを胸いっぱいにためる。
「……ぷはぁっ!」
そして、吐いた。これだけでもう、ネオ・ヴェネツィアの一員になれた気がして、私は無性に嬉しくなった。
目の前にはすぐ海が広がっていて、私はその生みの近くへと歩いた。潮風が、少しウェーブがかった私の髪の毛を、優しく持ち上げる。
「んん〜。気持ちいい〜!」
長旅で固まった身体を伸ばしながら、もう一度大きく深呼吸する。私の故郷は確かにマンホームだけれど、たしかになぜか懐かしい匂いが私を包んで離さない。
「ここが、水の都……」
私は遠くにある太陽を薄目でみながら、そう呟いた。
「ばいちゃい!」
「うわわわ!?」
私が薄目で太陽をみていると、謎の声と一緒に湿ったものが私の腕を撫ぜた。
「ぶいにゅ」
首を下ろしてみてみると、私の目の前には巨大な猫さんが立っていた(座っていた?)。
「火星猫、初めて見たかも……」
私はリュックサックの横にかけてあるカメラを取り出しながら、その猫と同じ目線になるようにしゃがんだ。そして、私がその猫さんに向かってカメラを向けると、
「ばいにゃ!」
と言って、その猫はポーズを取り始めた。触ったら絶対に気持ちいいであろう、もちもちのお腹を惜しげもなく、自慢げに突き出しながら、次々とポーズをとる猫。私はまるで専門のカメラマンのように、次々と写真を撮っていく。一定のリズムで切られるシャッターの音にだんだん楽しくなっていって、次第にその猫さんとの撮影会に熱が入っていった。
「良いですよ〜、猫さん。次、もう少しひねりを加えたポーズをお願いします」
「ぶいにゅ!」
猫さんは私の言葉通りにひねりを加えたポーズをとる。そして、すぐさまそれを私が撮る。パシャパシャと連続で撮影して、私たちは撮影会を続ける。
「あ、今のいい表情ですね〜、もう一枚!」
「ぷいぷい!」
「下からのアングルも素敵ですよ〜」
「ぶいにゃ!」
私とその猫さんがいつまでも撮影会をしていると、後ろから声が聞こえてきた。
「何してるんですか、アリア社長」
「にゅ?」
「はわっ?」
私が振り向くと、そこには一人の女性が立っていた。その女性は、ウンディーネの制服に身を包んでおり、両腕を腰に当てている。
「早めに仕事が終わったから、気になって様子を見に来てみれば……アリア社長?」
「……にゅ?」
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