羽川翼「それが……我が主人のお望みとあらば」阿良々木暦「決まりだな」
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名無しNIPPER
[sage saga]
2020/09/08(火) 22:47:06.05 ID:lUuaoiGOO
「あ、あがっ……ぐっ」
「かかっ。苦しいか?」
心臓を抜かれた私は無様にのたうち回る。
それでも吸血鬼は死なない。不死だから。
ただひたすら苦しく、呼吸もままならない。
「その苦しみは人間であった頃の名残じゃ。人間は心臓と呼吸が密接に結びついておるからの。儂のように何百年も吸血鬼をやっておればたとえ心臓を抜かれたとしても平然としていられるが、昨日今日で吸血鬼となったうぬにはさぞ息苦しいことじゃろうよ」
心臓の鼓動と呼吸はセットだ。
人間の身体はそのように作られている。
心臓が止まれば呼吸も止まる。それが常識。
ならば、その常識を塗り替えなければ。
「かひゅっ……すぅ……はぁ」
「んん? なんじゃ、もうコツを掴んだのか。揶揄い甲斐のない従僕の従僕じゃのう」
意識的に呼吸を整えた私を見て、さもつまらなそうに見下して、主人の主人は心臓を握る。
「あがっ!?」
「ハッ「ハハッ「ハハハッ「ハハハハッ「ハハハハハハッ」ハァーッハハハハハッ!!!!」
私の心臓に長い爪を食い込ませながら、鉄血にして熱血して冷血の吸血鬼は凄絶に哄笑した。
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