12: ◆XkFHc6ejAk[saga]
2020/09/13(日) 21:03:14.48 ID:L32KXTsp0
少年(シーラカンス。生きた化石。恐竜の居た時代から生きている)
少年(絶滅したと考えられていた魚……だっけ。魚の図鑑で読んだ)
少年「う、浮いてる……」
シーラカンス「まずは会話が成立している所に驚くべきだと思うが……」
少年「君は……何?」
シーラカンス「そう言う君こそ説明出来るのかな? 君とは一体何だ?」
少年「えっと……僕は……人間で、えーと……」
シーラカンス「質問されると意外に答えられないだろう」
シーラカンス「誰でも、自分についてよく知らないものだ。だから他者を通して自己を確立する」
少年「つまり、どういうこと?」
シーラカンス「一人で鏡を見てるだけじゃ、自分なんて分からないって事さ」
少年「なるほど……?」
シーラカンス「私は夜の一部だよ。満月の夜にこうして散歩をする」
少年「夜の一部?」
シーラカンス「ああ。身体は宇宙で出来ている。肌の白い模様は星の光だ」
少年(確かに、彼の身体は夜空をそのまま切り抜いて作ったかのようだ)
少年(うっすらと光るあの白い点は、星の光なのか……)
少年(あまりにも神秘的だ。ずっと眺めていると吸い込まれてしまいそうになる)
シーラカンス「さて、こんな深夜に公園で遊ぶ君が、あまりにも楽しそうなので姿を現した訳だが」
シーラカンス「これから、どこか行きたい所はあるのかい?」
少年「特には……」
シーラカンス「なら、私についておいで。面白いものを見せてあげよう」
少年「……うん!」
シーラカンス「さあ、一人と一匹でナイト・ウォークと洒落込もうじゃないか」
少年(こうして、僕は夜の魚と歩き出した)
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