少年「ミッドナイト・シーラカンス」
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17: ◆XkFHc6ejAk[saga]
2020/09/14(月) 20:41:42.07 ID:H4zZvC5e0


フワ……フワ……


少年「うわあ……」

少年(そこは、家の塀に囲まれた小さな空間だった)

少年(中央にはマンホールぐらいの水たまりがあって)

少年(たくさんのクラゲ達が、宙に浮かんでいた)

シーラカンス「どうだい、お気に召したかな?」

少年「す、すごい……! このクラゲ達も君の仲間?」

シーラカンス「いいや、彼らはただの水だよ」

少年「水?」

シーラカンス「クラゲは身体のほとんどが水分で出来ているんだ」

シーラカンス「だから、ここでクラゲが湧いたって不思議じゃない」

少年「いや……うん……そうだね」

少年(ありえないと言おうとしたけれど、魚が宙を泳いで喋る時点でありえない)

少年(そういうものだと割り切り、僕はクラゲ達を見る)

少年(ゆるやかに漂うその姿は、何だか見ていて落ち着く)

少年「クラゲ達は、昼でも見えるの?」

シーラカンス「いいや、昼は太陽の熱で消えてしまう。満月の夜のみ、その透明な姿を確認出来るんだ」

少年「そっか……」

シーラカンス「よく目を凝らして生きるといい。現実は形としてのルールに縛られているとは限らない」

少年「う、難しい。つまり……どういう事なの?」

シーラカンス「常識に囚われてはいけないって事さ」

少年「そっか。うん、そうだね……」

少年(確かに、夜のシーラカンスも居れば、水から湧くクラゲだって居る)

少年(常識に、囚われない……)

少年(うん、そうだ……その通りだ)

スッ

シーラカンス「? どうした」

少年「ここで、僕の演奏を聴いてほしいんだ」

シーラカンス「……ほう」


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