高垣楓「あなたがいない」
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194: ◆eBIiXi2191ZO
2020/09/25(金) 23:34:49.28 ID:17bnaLyc0

 お姉さんは言葉を失い、泣くばかり。男の子はそんな母親を心配して「げんきだして。だして」と、お姉さんに声をかける。
 ……なんと言えばいいのか、いや、なにも、言うことはできない。
 フィクションのような、テレビのような、そんな虚構と思いたくなる話。でも、現実の話。
 私は言葉を失った。
以下略 AAS



195: ◆eBIiXi2191ZO
2020/09/25(金) 23:35:30.44 ID:17bnaLyc0

「ところで」

 私はお姉さんに尋ねる。

以下略 AAS



196: ◆eBIiXi2191ZO
2020/09/25(金) 23:35:57.77 ID:17bnaLyc0

 楓さんへ

 これを楓さんが読まれるとき、僕はこの世にいないでしょう。
 ごめんなさい。本当に、ごめんなさい。
以下略 AAS



197: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/25(金) 23:36:45.05 ID:17bnaLyc0

 便せん一枚に、短い言葉。
 彼はなにを思って、これを書いたのだろう。私は。
 私は。

以下略 AAS



198: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/25(金) 23:37:23.52 ID:17bnaLyc0

 翌日。私は社長室へ向かう。

「社長さん」

以下略 AAS



199: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/25(金) 23:37:50.09 ID:17bnaLyc0

「P君が亡くなったのは、その翌日だったのです……彼はその自称父親に、追い詰められていたのだろうと、思います」

 どれほどのプレッシャーを、Pさんは感じていたのだろう。
 それをおくびにも出さず、彼は私のプロデュースを続けていた。
以下略 AAS



200: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/25(金) 23:38:30.31 ID:17bnaLyc0

 季節は、移ろいゆく。
 Pさんがいなくなって、二年と半年。私はテレビの中で、歌っている。

「ありがとうございました」
以下略 AAS



201: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/25(金) 23:38:59.90 ID:17bnaLyc0

 いつもの挨拶。でも今は、少しだけ違っている。

「ところで楓さん」
「はい?」
以下略 AAS



202: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/25(金) 23:39:28.16 ID:17bnaLyc0

「そう言えば、楓ちゃん」

 夜。いつものイタリアンバルで、瑞樹さんとちひろさんと一緒にお酒をたしなんでいた。

以下略 AAS



203: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/25(金) 23:39:55.32 ID:17bnaLyc0

「ただいま」

 誰もいない部屋。この暗さにももう、慣れた。
 この前までちひろさんと一緒に料理したり、ゆっくりと話し合ったり。あるいは。
以下略 AAS



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