14:名無しNIPPER
2020/09/19(土) 22:37:18.05 ID:66ORp3Ez0
 役人「ところで、君のお父さんの職業はなんだったかな? 
 君の弟は今年でいくつになる?元気にしているか? 
 君は母親のために毎日薬草を採りに行ってるんだったね。 
 確かにこの辺りはいい薬草が生えてそうだ。」 
  
 私の父は城の警備兵だ。 
 私の弟は今年で15になる。徴兵されてもおかしくない。 
 薬草はこの辺りでは私しか採らないから十分足りているが、売る目的で多くの人が取りにくれば、すぐになくなってしまうだろう。 
  
 役人が冷たい目で私を見ている。私は背筋が凍るのを感じた。 
  
 「君がやってくれれば、誰も困らずに済むんだ。全て丸く収まるんだよ。 
 彼女だって、捕まえはするが別に拷問するわけじゃない。あくまで説得だ。 
 それでも言うことを聞いてくれないようなら、身柄を拘束しなくてはならないかもしれないが。」 
  
 優しい声色で役人が話しかけてくる。 
  
 私には、最初から拒否権なんてなかったんだ。 
  
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