43:名無しNIPPER
2020/09/19(土) 23:13:23.12 ID:66ORp3Ez0
 役人「ええ。私が部下に命じたのは「魔法使いの説得」です。あの塔でどんなことが行われていたかは分かりませんが、実行犯はあくまであそこの兵士たちです。私の罪状は監督不行き届きで済むでしょうね。それに私は他の役人や大臣と持ちつ持たれつの関係でしてね。数年の刑期を言い渡されたとしても、それよりずっと早く牢から出られるでしょう。何か不満がおありですか?」 
  
 役人が意地悪く笑みを浮かべながらそう言う。 
 まずい、と思った。 
  
 勇者「それについては、今は構いません。それより、早く彼女の目と耳を直してあげてくれませんか?」 
  
 役人「ああ、申し遅れました。本当に申し訳ないのですが、彼女の呪いは解けないのです。 
 何分うちの呪術師は未熟ですから。なあ、そうだろう?」 
  
 役人が隣に立つ呪術師にニヤニヤしながら尋ねると、呪術師は無言で頷いた。今やすっかりあちらのペースになっていた。いつからか、いや、最初からかもしれない。 
  
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