7:名無しNIPPER
2020/09/19(土) 22:27:30.69 ID:66ORp3Ez0
 木に傷をつけたり、枝を折ったりして目印を残しながら彼女を背負って森を歩いていた。しばらく歩いたが、まだずいぶん森が深い。彼女に地図を確認してもらっていなければ、街に向かって近づいているとは思わなかっただろう。 
  
 勇者「随分道が険しいですね。いつも、こんな森の奥深くまで薬草を取りに来てるんですか?」 
  
 村娘「この方角にはほとんどだれも来ませんから・・・いつもはもう少し北の方で薬草を探してるんです。そのあたりはここと比べればいくらか開けてますし、歩きやすいですから。」 
  
 勇者「そうなんですね。あれ?でもそれなら、今日はどうしてこんなところにいたんですか?」 
  
 村娘「・・・私がいた場所の少し奥に、塔が立っているのをご存じですか?」 
  
 勇者「ええ、そういえばありましたね。ここに来る途中に見かけました。その塔が何か?」 
  
 村娘「あの塔に、私の友達が捕まってるんです。」 
  
 彼女は、何か言いにくいことを告白するように言った。 
  
 勇者「え・・・?」 
  
 村娘「最初は、すぐに戻ってくると思ってたんです。でも一週間たっても、一か月たっても帰ってこなくて。それで、私彼女のことが心配になって・・・。」 
  
 押しとどめてものがあふれ出したように、彼女は続けて言った。友達がいなくなって不安だったのだろう。 
  
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