27:名無しNIPPER[saga]
2020/09/22(火) 02:47:15.85 ID:3G5NISVX0
 次回、「葛葉、死す」 
 デュエルスタンバイ! 
28:名無しNIPPER[sage]
2020/09/22(火) 07:41:11.33 ID:IV1A73r6O
 死んじゃったよ!? 
29:名無しNIPPER[saga]
2020/10/04(日) 01:18:20.82 ID:WsJ2cUxc0
  見守られている側、葛葉は初陣でありながらほとんど緊張はしていなかった。それもその筈、初陣なのはこの世界においてでしかない。 
  
  嘘みたいな本当の話、葛葉の戦闘経験は豊富である。ゲームでの話ではない。実践の話で、実戦での話だ。 
  
  アレクサンドル・ラグーザ――彼の実家の魔界での職業は衛士。つまり、元職業軍人である。ひまわりは先ほど弟の横顔をして「歴戦の兵士に似ている」と評したが、似ているどころでは本来は無い。 
30:名無しNIPPER[saga]
2020/10/04(日) 01:27:09.02 ID:WsJ2cUxc0
  その声は露骨に落胆が混じっている。しかし、それは相手が強敵でなかった事への不満ではない。 
  
  じっと敵を見据えた所で「HPバーが見えない」「モンスター名が視界に表示されない」といった風に、ライトノベルでのオヤクソク(とは言え葛葉は小説のアニメ化を見る勢であったが)がこの世界ではまるっと無視されていた件に対してだった。 
  
  ユーザーインターフェイスが行き届いていない、と葛葉は思わず天を仰いだ。 
31:名無しNIPPER[saga]
2020/10/04(日) 01:36:26.83 ID:WsJ2cUxc0
 「……黒剣錬成はキッチリ働く、と。この分だとチャームや蝙蝠化なんかも特に問題無く働くんだろうな……あれ、だとしたら何コレ? ヌルゲーじゃね?」 
  
  葛葉は一瞬にして両の手に闇を纏わせるとそれをゆっくりと左右二体のゴブリンにそれぞれ照準した。慌てる必要はどこにもない。ゆっくりと照準する時間がそこには出来てしまっていた。 
  
  ゴブリン達は動けない。それは死の恐怖か、生への諦念か。 
32:名無しNIPPER[saga]
2020/10/04(日) 01:46:01.57 ID:WsJ2cUxc0
  しっかしなあ、と葛葉は地面に崩れ落ちたゴブリンの首無し死体、あるいは生首を見ながら思う。酷いところに飛ばされたものだ、と。ああ、本当に。考え得る限り最悪とも思える類の異世界である。 
  
  彼曰く「ヌルゲー」。でありながら「考え得る限りの最悪」。しかし、この二つは決して矛盾せず共存する。 
  
 「……獲物には当然に毒、か」 
33:名無しNIPPER[saga]
2020/10/04(日) 02:01:15.99 ID:WsJ2cUxc0
 「姉ちゃん、ちょっと二人のトコに戻ろう」 
  
 「え、なんで? ご飯は?」 
  
 「それなんだけどな。モンスター倒しても金っぽいアイテムを落とさなかった。つまりスーパー見つけても俺らはこの世界の通貨を持ってないから何も買えねーんだわ」 
34:名無しNIPPER[saga]
2020/10/04(日) 02:12:06.55 ID:WsJ2cUxc0
  一方、その頃。 
  
  社築は手近かつ手ごろな大きさの石に座り異世界の攻略を始めていた。 
  
 「『ステータス』! ……これじゃないか。『メニューウインドウ』! ……これも外れかよ」 
35:名無しNIPPER[saga]
2020/10/04(日) 02:30:16.85 ID:WsJ2cUxc0
 「やっぱそう? ま、薄々勘付いてはいたんだよ」 
  
 「だったらなぜ奇声を上げる事を止めぬ? まあ、もしもどれかの単語が引っ掛かったら儲けものじゃから止めはせんが」 
  
 「ああ、ええと……それは、だな」 
36:名無しNIPPER[saga]
2020/10/04(日) 03:57:39.26 ID:WsJ2cUxc0
 「……メタが過ぎるわ」 
  
  呆れ顔のファイアードレイクは苦笑しながら二匹目の兎の処理に取り掛かる。手練も勿論だが、何よりも道具が無ければ精肉工程などこなせない。包丁やナイフの類は全て、その鋭利な赤い爪が補っていた。 
  
 「ただ、そういった類の知識は今回まるで役に立たなそうじゃの。ほれ、見てみい」 
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