22:名無しNIPPER
2020/09/22(火) 20:27:49.69 ID:V4s4JV6AO
 「どうしたんですか?こんなところで…」 
  
 「いや、何、少し風に当たろうと思ってね…」 
  
 「そうなんですか…私も…少し練習の環境を変えたくて…」 
23:名無しNIPPER
2020/09/22(火) 20:28:54.14 ID:V4s4JV6AO
 「如月君、君は…他のプロダクションならばよかったと…思ったことはないかい?」 
  
 「はい?」 
  
 「いや、君はそもそも歌手志望だっただろう?私はアイドルのプロデュースしかできないから、君にもアイドルとしてデビューしてもらったが…」 
24:名無しNIPPER
2020/09/22(火) 20:30:02.98 ID:V4s4JV6AO
 「そう…ですね…確かにそうだったかもしれません…」 
  
  如月君は私の話を聞いた後、考えながら絞り出すように返事をしてくれた。 
  
 「けれど、今の私があるのも765プロのおかげです」 
25:名無しNIPPER
2020/09/22(火) 20:31:02.43 ID:V4s4JV6AO
 「もう一度歌えたのも、過去を乗り越えられたのも…母と…和解できたのも、765プロのみんなと一緒だったから…みんなが支えてくれたから…そして、それに気づかせてくれたから…」 
  
  話すことが得意では無い彼女。けれど、それでも必死に言葉をかけてくれる。まるで私に『伝えなければならない』と思っているかのように。 
26:名無しNIPPER
2020/09/22(火) 20:31:45.95 ID:V4s4JV6AO
 「だから、今度は私の番なんです…その…上手く言えないですけど…私はここを守りたい」 
  
 「如月君…」 
  
 「だから、私は…今はもう、ここ以外は考えられないですね」 
27:名無しNIPPER
2020/09/22(火) 20:33:07.85 ID:V4s4JV6AO
 「ありがとう、如月君」 
  
 「いえ、こちらこそありがとうございます」 
  
  如月君も、天海君と同じように逆にお礼を返してくる。それが何に対してか聞き返す前に、彼女は自主練に戻ってしまった。私は大人しく室内に戻ることにした。 
28:名無しNIPPER
2020/09/22(火) 20:33:55.20 ID:V4s4JV6AO
 03 
  
 「う、うーん…むにゃむにゃ…」 
  
 「おや?ソファに誰かいるのかね?」 
29:名無しNIPPER
2020/09/22(火) 20:34:41.29 ID:V4s4JV6AO
 「時に美希君。少し、変なことを聞くようだがね…君は…他のプロダクションならばよかったと…思ったことはないかい?」 
  
 「うーん…無いよ?」 
  
 「ははは、そうか。即答とは嬉しい限りだね」 
30:名無しNIPPER
2020/09/22(火) 20:35:32.17 ID:V4s4JV6AO
 「けれど、辞めたくなったことはあるんじゃないかね?」 
  
 「うーん、確かにそれはあるの」 
  
  美希君は事務所随一の気分屋だ。今でこそプロ意識の高さも他のアイドルと変わりないが、最初の方は割と彼女に振り回されることも多かった。かくいう私も彼女のおにぎりを間違えて食べてしまい、辞める辞めないの大騒動を引き起こしてしまったことがある。 
31:名無しNIPPER
2020/09/22(火) 20:36:23.80 ID:V4s4JV6AO
 「でもね、それはアイドルそのものを辞めようとしただけなの。多分他の事務所にまで行って、美希アイドルやらないよ?」 
  
 「ほぅ、それはどうしてかな?」 
  
  彼女の天才性は黒井好みだ。もしも961プロにいたらと思うと恐ろしい。 
32:名無しNIPPER
2020/09/22(火) 20:37:39.80 ID:V4s4JV6AO
 「だってここじゃないと楽しくないの」 
  
  返ってきた答えは彼女らしく至極簡単な答えだった。 
  
 「君のスタイルなら、例えば黒井とも上手くやれるかもしれないよ?」 
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