21: ◆eodXldT6W6[saga]
2020/09/28(月) 23:48:51.80 ID:7MqFVx3xO
志摩「さっき言ってた男の人が捨てていったって言ったよね? どんな感じの人だった?」
果穂「えっ……で、でも……」
伊吹「大げさって思うかもしんないけど、指定されたところ以外にゴミを捨てるのは不法投棄だから。きみは実際に犯行の現場を目撃してる。このドーナツをどうにかするのはおれたち警察の仕事」
伊吹はサングラスを外し女の子に目線を合わせる。そして、ゆっくりと真意を伝える眼をしながら女の子に笑いかける。
伊吹「だから、話してくれて大丈夫」
果穂はもどかしそうに唇を震わせていたが、やがて口を開きさっき公園で出会った青年についてぽつりぽつりと話し出した。
伊吹は眼を合わせながら話に集中していることを果穂に示している。志摩はその横でメモを取りながら、この内容を不審者情報として生活安全課に伝えることを頭の中にメモする。
伊吹「そいつ、ほかになにか言ったりした?」
果穂は青年が言ったことを正確に思い出そうとした。だが、あの青年がいったいどういうつもりであのようなことを口にしたのか果穂にはまったく分からなかったし、おそらくこれからもわかることはないだろう。解釈不可能な存在に出会い、ぶつかったとき、それを言葉で記述するのは思想家ですら困難な作業で大量の紙幅を用意する必要がある。まだ小学生である果穂にとって久住のことを説明するのはできないことであった。だから、果穂は最も印象に残っていた単語を口にするしかなかった。
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