【ミリマスSS】さむざむのみちみち
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3: ◆ivbWs9E0to[saga]
2020/12/18(金) 21:20:49.10 ID:dICjsRIu0
 
「ひゃっ」

 電車を降りてホームの階段の前に向かうと、びゅうと冷たい風が吹き下ろしてきた。普段は人でぎゅうぎゅうだから気付かなかったけど、外から内へ力強く流れる風に、否が応でも外の寒さを思い知らされる。
 フェルト生地のコートの裾を掴むと少しだけ暖かくなったような錯覚を覚える。人も疎らな階段を、いつもより縮こまって進んでいった。階段を登りきる頃には太もものあたりからじんわり暖かくなって、風の流れは感じなくなっていた。
 人の流れに沿って歩くと、やがて改札に収束していく。その更に先を見ると、流れに乗らずに静止している点がひとつ。志保ちゃんだ。
 真っ直ぐにそちらに向かって行き、改札にパスケースを軽やかにタッチすると、赤い警告と共に改札がバタッと音を上げた。
 すみません、と後ろの人に謝ってからもう一度、今度は軽やかにではなくしっかりと押し当てると、何事も無かったかのようにピピッと改札が囀る。
 顔を上げると、スマホから目を上げた志保ちゃんと目が合った。

「なにやってるのよ」
「えへへ……。おはよう志保ちゃん」
 


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